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関節リウマチ

関節リウマチの薬が、糖尿病治療薬に?

若年性関節リウマチ(RA)治療用にデザインされた薬剤anakinra(商品名:Kineret ただし、日本国内では未承認)が、2型糖尿病の管理にも有用であることがスイス、チューリッヒ大学病院のMarc Donath博士らの研究により示され、米医学誌「New England Journal of Medicine」4月12日号で報告された。
 
米国糖尿病協会(ADA)によると、米国では人口の約7%にあたる2,100万人が糖尿病に罹患している。体内でのインスリンの産生や作用が低下する2型糖尿病が最も多く、過体重、高齢者、黒人やアメリカ先住民など特定の人種でリスクが高い。インスリンはホルモンの一種で、エネルギー源となるブドウ糖を血液から細胞に取り込むのに必要である。

1型糖尿病と同様に、2型糖尿病でも膵臓にあるβ細胞が破壊されることがあり、過去の研究から、インターロイキン(IL)-1βという物質が2型糖尿病患者のβ細胞死滅をもたらす因子であることがわかっていた。anakinraはインターロイキン-1受容体拮抗薬であり、インターロイキン-1βを阻害する作用がある。

anakinraの2型糖尿病患者に対する効果をみるため、研究グループは、34人をanakinra 100mg投与群、36人をプラセボ投与群に無作為に割り付け、1日1回の注射を13週間実施した。

期間終了後、anakinra群では、約3カ月間の血糖値の平均を示す糖化ヘモグロビン(HbA1c)濃度が0.46%低かった。糖尿病でない人のHbA1cの平均値は約5%で、この値が高いほど、心疾患、神経障害、腎障害、失明などの糖尿病合併症のリスクが高くなる。インターロイキン-1βは動脈硬化症などの合併症にも関与していることから、anakinraによる治療が心血管イベントの予防につながる可能性もあるとDonath氏は述べている。

今回の研究でanakinraの良好な耐容性が認められたため、Donath氏らはさらに大規模な追跡研究を実施する予定だという。しかし、別の専門家からは、この薬剤は長期間使用すると効果がなくなるとして、臨床への応用については期待できないという意見もある。また、やせている人ほど高い効果がみられる点が興味深いとも指摘されている。
(関節リウマチ薬が2型糖尿病治療にも有用)


若年性リウマチの治療薬である、anakinraはインターロイキン-1(IL-1)受容体拮抗薬だそうです。このIL-1の受容体拮抗薬の作用により、膵臓にあるβ細胞が破壊されるのを防ぐ、というメカニズムのようです。

糖尿病の治療薬には、スルフォニルウレア剤やビグアナイド剤、αグルコシダーゼ阻害剤などの経口血糖降下薬や、インスリン製剤、ピオグリタゾンなどのインスリン抵抗性改善薬などがあります。

これらは血糖値を下げる方向性の治療薬であり、膵臓のβ細胞を守る、という観点からの治療薬は初めてではないでしょうか。

ほかにも、自分の「造血幹細胞」移植で効果があったという研究もあります。今後は、こうした「膵臓を守る」という治療も重要になる時代になるのではないでしょうか。

【関連記事】
糖尿病治療、自分の「造血幹細胞」移植で効果

女性が気をつけるべき病・【膠原病】関節リウマチ/シェーグレン症候群

42歳女性

頑張り屋で、パートも家事も手を抜かない下町の肝っ玉母さん、U・Sさん。パートで疲れて帰っても自慢の手料理に腕を振るい、本当に忙しい毎日でしたが、ある日、右手の指がこわばって動かしづらいのを感じます。こわばりはしばらくすると消えたため、さして気にもとめなかったU・Sさん。しかし、その後も気になる異変が続きました。

[症状]
1)朝、手の指がこわばる
2)繰り返す朝のこわばり
3)反対の手の指がこわばる
4)手首が動かしづらい
5)肩のこわばり
6)肩の痛み
7)パンが飲み込みにくい
8)肩に強い痛み


関節リウマチやシェーグレン症候群は、膠原病の一種です。
膠原病とは、本来は細菌や異物から体を守るはずの免疫システムが何らかの原因で異常を起こしてしまい、身体の様々な場所で、炎症を引き起こす病の総称です。様々な種類がある膠原病ですが、その種類によって、身体に炎症が起きる場所が違ってきます。

U・Sさんの場合は、まず、関節リウマチを発症。初期症状の大きな特徴である、朝のこわばりに襲われ、さらにその後、肩にも痛みが出始めました。そしてこの病の最大のポイントは、こうした症状が出たり消えたりを繰り返すこと。実は、これこそが膠原病の落とし穴。

症状が出たり消えたりするため、周囲から見過ごされてしまい、本人も病のサインを見落としてしまうのです。そしてついに、唾液腺に炎症が起こるシェーグレン症候群まで発症。唾液が出にくくなり、いわゆるドライマウスの症状に襲われたのです。そして、気づいたときには、指の関節の破壊が始まっていました。膠原病には効果的な予防法がないのが現状。だからこそ、初期の症状に気付き、早期発見、早期治療をすることが何より重要といわれています。

診断は、アメリカリウマチ学会(ARA)の分類基準(1987年)があります。
1.朝のこわばり(一時間以上持続する)
2.多関節炎(少なくとも3領域以上の関節の腫れ)
3.手の関節の腫れ
4.対称性の関節の腫れ
5.リウマチ結節
6.リウマトイド因子(リウマチ因子)陽性
7.レントゲン検査で典型的な関節所見
以上7項目のうち4項目以上を満たせば関節リウマチと診断されます。

リウマチの治療の目標は、
1)関節の痛みを抑える
2)リウマチ活動性や関節の炎症を抑える
3)関節の変形を予防し、動かせる範囲を保つ
4)破壊された関節の働きを再建することに主眼をおく
ということです。

非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛薬)や副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)、抗リウマチ薬と免疫抑制薬などを使用して、上記の治療目標に近づけるようにします。
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