オーストラリアのラグビー選手が頭痛を訴え、病院で診察を受けたところ、数カ月前の試合で激しくぶつかった相手選手の歯が、頭部に埋まっていたことが分かった。

試合で相手チームの選手と互いの頭部をぶつけて負傷。頭部の傷を縫合した。しばらくして激しい頭痛がするようになったため、病院へ。

「今は笑えるが、医師から危険だったと言われた」と選手。摘出した歯は持ち帰ったが、相手選手が希望すれば返却するという。
(頭痛の原因は…頭に埋まった「歯」)


頭部外傷とは、頭に外力が作用したために生じたあらゆる損傷をいいます。発生の時期により、急性期(外傷より3日以内)、亜急性期(外傷より4〜20日くらいまで)、慢性期(外傷より3週以降)の3期に分かれます。この区別は、予後に関係するので大切と考えられます。慢性期は頭部外傷後遺症として一括されます。

頭部外傷の分類には種々ありますが、一般的には開放性と閉鎖性に分け、さらに部位により頭皮、頭蓋骨、頭蓋内に分けます。もちろん頭蓋内、とくに脳の損傷の程度が最も重要視され、これに対してわが国では荒木の分類が有名です。
・荒木の分類
第1型(単純型):脳の症状(意識障害や神経症候)を全く欠如しているもの
第2型(脳振盪型):意識障害が一過性で受傷6時間以内(多くは2時間以内)に消失する。脳の局所症状はないが頭痛、嘔吐、めまいなどは短時日続くことがある。
第3型(脳挫傷型):意識障害が6時間以上持続するか脳局所症状があるもの。
第4型(頭蓋内出血型):意識障害が増悪したり、脳圧迫の神経症状が出現増悪するもの。


上記のラグビー選手のような場合では、おそらく頭皮の外傷、悪ければ頭蓋骨骨折が起こっているかも知れないと考えられます。
頭皮は、身体の他の部位の皮膚と異なり、緊満した皮膚組織であり、血行に富んだ組織です。したがって、頭皮の外傷は割創が多く、大量出血を引き起こす可能性があります。そのため、止血と傷を合わせるため縫合処置が必要となります。ですが、頭皮は血行に富む組織であるため、感染はほとんど起こらないそうです。

また、頭蓋骨折は、陥没骨折を除いてはそれ自体治療の対象とはならないようです。ただ、骨折はそれを生じる程の外力が加わったことを証明しているし、部位によっては硬膜外血腫を引き起し易い部位があるそうです。

何はともあれ、無事で何よりです。ラグビーをする際は、お気をつけ下さい。

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