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食中毒

ノロウイルスで48人集団食中毒−びっくりドンキー豊橋藤沢店

愛知県豊橋市保健所は31日、同市潮崎町の外食チェーン店「びっくりドンキー豊橋藤沢店」で食事をした客22グループ48人がノロウイルスによる集団食中毒にかかり、同店を同日付で営業禁止にしたと発表した。



同保健所によると、発病したのは27日昼から28日夕までに同店でハンバーグディッシュなどを食べた2歳から46歳までの男女48人。28日から29日にかけて下痢や嘔吐おうとなどの症状を訴え、うち4人が入院した。いずれも快方に向かっているという。

同保健所が調べたところ、患者のうち検便を実施した8人全員から、従業員11人中5人からノロウイルスを検出。このうち調理従事者1人は26日から下痢などの症状があったといい、同店の食事が従業員によって汚染されたことが原因の食中毒と断定した。同店は30日から営業を自粛している。

ノロウイルスとは


以前、長野県山ノ内町の旅館「天狗の湯」(関金四郎社長)にスキー研修で訪れていた福岡県の高校生ら男女161人がノロウイルスによる食中毒を発症したことも明らかになっています(ノロウィルスによる感染性胃腸炎−161人が発症)。

食中毒というと夏や梅雨の時期のイメージがあるかもしれませんが、ノロウィルスを始めとしてウィルス性胃腸炎は、冬季に起こります。幼児にみられる嘔吐と白色便性下痢は、ロタウイルスによるものが多く、年長児・成人ではノロウイルスによるものが多いといわれています。

ノロウイルスは、急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種です。カキなどの貝類による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や嘔吐物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染します。経口感染した胃腸炎ウイルスは、十二指腸から小腸にかけての腸管絨毛上皮細胞に感染し、発熱や嘔吐、下痢、腹痛などの胃腸炎症状を引き起こします。

調理する人や従業員などの手洗いが不十分で、ノロウィルスを蔓延させてしまう、ということが起こり得ます。もちろん、指導を待つ前に、ノロウィルス感染が疑われた場合は、その従業員は休業するべきであると考えられます。

症状の始まりは突発的に起こることが多く、夜に床につくと突然腹の底からこみ上げてくるような感触と吐き気を催し、吐いてしまうことが多いです。それも一度で終わらず何度も激しい吐き気が起り、吐くためにトイレのそばを離れられないほどだそうです。ちなみに、ノロウイルスでは、上腹部痛と激しい嘔吐を伴う頻度が高いといわれています。続きを読む

サルモネラ菌による食中毒を防ぐ方法

梅雨から夏の暑い時期になると、各種食中毒の話を耳にするようになる。昔と違って今はその頻度も少なくなったが、だからといって地球上から無くなったわけではないので、用心するにこしたことはない。

それら食中毒の中でも良く聞くのが「サルモネラ症(サルモネラ菌による食中毒)」。サルモネラ菌に汚染された食品を食べることで起因するもので、重度の下痢や腹部の痛みを伴う、非常に辛いものだ。

HealthDayではアメリカの疾病対策センターの話として、サルモネラ症について次の情報・注意事項を挙げている。気をつけておくと、リスクを低めることができるだろう。
・サルモネラ症は野菜をはじめ多くの食品が原因となる。特に卵や牛乳、牛豚鶏などの食肉において、「汚染」されることが多い。
・ペットの排出物がサルモネラ菌に汚染されていることもある。ペット自身やその排泄物の世話をした後に手を洗わないと、その人を経由してサルモネラ菌が他人に感染することもある。
・食品を十分に加熱することで、通常はサルモネラ症を予防できる(※卵の場合、70度で20分以上加熱調理をすれば死滅する卵殻表面汚染サルモネラの侵入性と加熱調理法による食中毒予防について)。
・加熱していない食肉と調理済みの食品との接触を防ぐ(感染の可能性があるため)。
・食品を準備、調理する時やしたあとで、手や調理器具をこまめに洗うこと。
サルモネラ症云々は別にしても、清潔な食環境を維持するには必要不可欠なことばかり。特に生ものの食品周りにおいては、夏場は注意した方がよい。

意外と油断してしまいがちなのが「まな板」。いくら食品に気を使っても、その食品を調理するまな板が菌だらけでは意味がない。洗剤や熱湯消毒への注意を怠らないのはもちろん、「まな板は常にきれいにする」ことを習慣づけるのが一番である。
(サルモネラによる食中毒を避けるために注意すべき5項目)

サルモネラ感染症とは


サルモネラは菌種の代わりに血清型で分類されます。現在、2,300以上ありますが、ヒトによくみられるのは約20種の血清型です。サルモネラの保菌動物は多く、食肉、卵、乳製品などの食品、ミドリガメ、イヌ、ネコなどのペット、ヒトの患者、保菌者などが感染源となります(人獣共通感染症であるため制圧は困難)。

Salmonella Enteritidisがここ10年間最多を占め、鶏卵関係食中毒に多いです。以前は、S.Typhimuriumが多かったですが、現在では第2位となっています。

1)胃腸炎、2)菌(敗)血症、3)局所感染症、4)チフス症、5)保菌者の異なる病型があります。胃腸炎が最も多いですが、胃腸炎に2)菌(敗)血症、3)局所感染症の合併、1)〜4)群の病後に保菌者となるなど、病型を単純に分けられないこともあります。

サルモネラは食品衛生法に基づく食中毒菌であり、行政的な調査・対応が必要な場合には保健所に24時間以内に届け出る必要があります。特に腸チフス、パラチフスは2類感染症であり、直ちに保健所に届け出る必要があります。

従来、発症には10^6〜10^9個程度の大量の菌が必要とされてきましたが、実際には10^1〜10^4の少ない量でも発症することがわかっています。年齢の両極端である小児と高齢者、基礎疾患をもつ易感染性宿主が罹患しやすく重症化しやすいため、予防が重要となっています。

サルモネラ感染症の診断


臨床像は多彩ですが、通常は胃腸炎症状がみられます。時に、腸管外感染を引き起こし、一過性の菌血症はまれではありません。さらに、髄膜炎、骨髄炎、関節炎、心内膜炎などの病巣感染を起こすことがあります。

無症状の保菌者も多く、胃腸炎の場合、12〜36時間の潜状期後発症し、38℃以上の発熱、1日10回以上の水様性下痢、腹痛、嘔吐がしばしばみられ、血便の頻度は入院例では20〜30%となっています。

緑色の水様下痢便が高率にみられ、小腸性といわれる激しい水様性下痢のために、脱水からショックに陥り死亡することもあります。

回復も遅れがちで、発熱が数日にわたり、下痢回復まで1週間以上かかるなど、その他の感染性腸炎よりも重症化することが多いです。髄膜炎は新生児に多いです。

症状軽快後も排菌が続く、いわゆる病後保菌者が多いことも特徴的です。1〜3か月、時に6か月にわたることもあります。

サルモネラを細菌培養で証明・確定診断ができます。増菌用選択培地があり、疑わしい場合には、その検査を行います。便からの菌証明が基本で、抗菌薬使用前の適切な検体を得ることが大切ですが、病型により血液、尿、胆汁や局所(膿、髄液、関節液など)、食中毒では推定原因食品なども培養対象とする必要があります。

不明熱では抗菌薬を一時中止し、菌検査をすることもあります。菌不明胃腸炎でも治療中止・終了後に再排菌も多く、繰り返し便培養をすると菌陽性となることがあります。

サルモネラ感染症の治療


サルモネラ感染症の治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む

どら焼きからブドウ球菌 検出で回収へ−萩の月の「菓匠三全」

仙台の銘菓「萩の月」で知られる製菓会社「菓匠三全」(宮城県大河原町)は3日、同社製のどら焼きから下痢や吐き気などの食中毒症状を引き起こす「黄色ブドウ球菌」が検出されたと発表、自主回収を始めた。
 
同社によると、回収の対象は、8月27〜30日に同社の経営する喫茶店「ずんだ茶寮」の各店舗(東京都、横浜市、仙台市など16店)で販売された「富貴どら焼」約1万8000個。8月27日に「ずんだ茶寮大丸ららぽーと横浜店」で試食販売のための検査の際、商品から同菌を検出。連絡を受けた同社が31日に工場を検査したところ、どら焼きのあんを詰め込む機械から同じ菌が検出され、製造を中止した。
 
同社では今月3日までに5680個を回収したが、食中毒などの報告はいまのところないという。販売店から回収するとともに店頭で注意を呼びかけている。
(どら焼きからブドウ球菌 “萩の月”の「菓匠三全」が回収)


食中毒の直接の原因は、飲食物などに含まれていた有害・有毒な原因物質を摂取することによりますが、その原因物質が直接に毒物として作用する場合と、原因物質が微生物であり、その増殖によって消化管の感染症を発症する場合に分けられます。つまり、
1)細菌によって産生された毒素が原因→毒素型食中毒
2)細菌が腸管で増殖したことが原因→感染型食中毒
となります。

毒素型食中毒のほうは症状が早く現れ(食べられる前に既に毒素が産生されているため)、感染型食中毒のほうが遅く出てくる(腸管で増えるまでに時間が掛かる)という違いがあります。

毒素型では、上記ニュースでも問題となっている黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌が原因となります。感染型では、腸炎ビブリオやサルモネラ属菌が原因となります。

毒素型食中毒の場合、原因となる細菌が食品中で増殖するとともに毒素を産生し、その食品を汚染することが食中毒の原因となります。この場合、増殖後に細菌を殺して除いても、毒素が残っていれば食中毒が発生するので注意が必要です。

黄色ブドウ球菌は人体の皮膚表面、毛孔に存在します。特に鼻腔内に存在する常在細菌であり、約30%のヒトが保有していると言われます。ヒトの皮膚に常在するブドウ球菌の中では毒性が高く、通常、他のブドウ球菌では健常者に対して病気を起こさないのに対し、黄色ブドウ球菌は健常者に対しても病気を起こしうる特徴があります。

黄色ブドウ球菌による食中毒は潜伏期が短く、汚染された食品を食べたあと2〜3時間で発症し、その後すみやかに終息します。主に悪心・嘔吐(下痢よりも多い)が起こってきます。

何はともあれ、問題が起こる前に回収となって、不幸中の幸いといったところでしょうか。もはや情報を隠匿することはできない時代です。こうした迅速な対応が求められています。

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大腸菌群検出を隠ぺい「白い恋人」

北海道土産として知られる菓子「白い恋人」を製造する札幌市の菓子会社「石屋製菓」(石水勲社長)は14日、アイスクリームとバウムクーヘンからそれぞれ大腸菌群と黄色ブドウ球菌が検出されたと発表した。保健所に報告せず隠ぺい、保健所の抜き打ち検査で発覚した。いずれも食中毒の原因となる恐れがある。

白い恋人の一部でも賞味期限を偽っていたことを明らかにし、これらの商品の自主回収を始めた。健康被害の報告はないという。

石水社長は同日夜に記者会見し、隠ぺいや賞味期限偽装は同社の伊藤道行統括部長の指示だったことを明らかにした。社長は知らされていなかったとしている。伊藤部長は隠ぺいについて「魔が差した」と話している。

札幌市は15日、3つの商品を製造した本社工場(西区宮の沢)を立ち入り検査する。
大腸菌群検出を隠ぺい 「白い恋人」の石屋製菓


大腸菌は腸内細菌でもあり、温血動物(鳥類、哺乳類)の消化管内、特に大腸に生息します。そのため、この菌の存在は糞便による水の汚染を示唆し、河川、湖、海水浴場などの環境水の汚れの程度の指標として用いられています。また、水道水からは「検出されてはならない」とされています。

もちろん、体内にも存在しているため、無害となることが多いですが、いくつかのケースでは疾患の原因となることがあります。

たとえば、血液中や尿路系に侵入した場合に病原体となります。内毒素を産生するため、大腸菌による敗血症は重篤なエンドトキシンショック(細胞内毒素とよばれ、場合によっては死亡してしまいます)を引き起こしてしまいます。敗血症の原因として最も多いのは、尿路感染症ですが、大腸菌は尿路感染症の原因菌として最も多いものです。とくに、女性では尿道と肛門の位置が近いため、尿路感染症を起こしやすいとされています。

また、大腸菌の一部では、動物に害となりうる性質を持つものもあります。大部分の健康な成人の持っている株では下痢を起こす程度で 何の症状も示さないものがほとんどですが、幼児や高齢者、病気などによって衰弱している人、免疫機能の低下している人では、重篤な状態になって、時として死亡に至ることもあります。

中でも、特に強い病原性を示すものは病原性大腸菌とよばれます。とくに腸管出血性大腸菌の中でもO157は有名ではないでしょうか。血液中にもベロ毒素が取り込まれるため、血球や腎臓の尿細管細胞を破壊し、溶血性尿毒症症候群(急性腎不全・溶血性貧血)急性脳症なども起こることがあり、急性脳症は死因となることがあります。

黄色ブドウ球菌は、ヒトや動物の皮膚、消化管常在菌(腸内細菌)であるブドウ球菌の一つです。膿瘍などの様々な表皮感染症や食中毒、また肺炎、髄膜炎、敗血症等致死的となるような感染症の起因菌でもあります。

健康被害の報告はなかったようですが、食品の安全性や表示問題が深刻化している昨今、こうした問題が二度と起こらないことを望みます。管理体制のチェック機構を見直し、安全性を確保できない製造元や偽装表示を行っている製造会社には厳罰化で臨むなど、今後の対応が求められます。

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