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Bowen病

今日の一問各論3 「皮膚・頭頸部疾患」
(問題)
Bowen病では疼痛を伴う。



(答え)×

(解説)Bowen病は表皮内有棘細胞癌であり、表皮全層に異形性の強い細胞増殖が起こる。体幹,四肢皮膚に単発,多発する境界明瞭な紅斑性,角化性局面で、徐々に遠心性に拡大し、不規則円弧状輪郭を呈し、しばしば境界明瞭な直径数cm程度の紅褐色〜黒褐色局面を呈する。びらん,潰瘍化するものや,疣贅状に隆起するものもある。通常、自覚症状はほとんどない。慢性砒素中毒で多発する場合がある。病理学的に個細胞角化と多核の異常角化細胞が特徴的である。治療は外科的切除、凍結療法などである。

[補足]
慢性ヒ素中毒(工場廃水,鉱山・地下伏流水,農薬,毒ガス製造,医薬品であるホーレル水,アジア丸など)で10年以上を経て続発すると考えられ、したがって、他のヒ素中毒の皮膚症状を合併するものが多い。また、内臓癌とくに肺癌の合併も多い。
 
治療は皮膚病巣の切除,電気凝固,抗腫瘍薬の外用を行います。Bowen癌を発生したものは有棘細胞癌の治療と同じ、外陰部皮膚に限局する疾患で組織学的にBowen病と同一の所見を呈するものに紅色肥厚症および、多中心性色素性ボーエン病、ボーエン様丘疹症がある。前者(多中心性色素性ボーエン病)は粘膜面のBowen病,後者(ボーエン様丘疹症)は黒褐色の丘疹,小結節を多発し、良性疾患である。
 
ちなみにJohn Templeton Bowenはアメリカの皮膚科医(1857‐1941)です。

光線角化症

今日の一問各論3 「皮膚・頭頸部疾患」
光線角化症では有棘細胞癌が発生し得る。



(答え)○

(解説)有棘細胞癌は、表皮ケラチノサイトの悪性増殖による癌である。癌前駆症(光線角化症、Bowen病など)、瘢痕性病変(熱傷瘢痕、慢性放射線皮膚炎など)などの先行病変を認めることが多い露光部に好発し、硬い結節でしばしば壊死、潰瘍化し悪臭を伴う。病理組織では個細胞角化、癌真珠が認められ、角化の少ないものほど未分化で悪性である。治療は外科的切除とリンパ節郭清、放射線療法、抗腫瘍薬の投与などがある。

[補足]
症状としては、高齢者の露光部(顔面、手背など)に単発し、先行病変の上に小丘疹〜結節が出現し、次第に拡大して腫瘤や難治性潰瘍を形成します。花キャベツ様増殖を認め、これらの病変に角質や痂皮が付着することも多い。

・有棘細胞癌でみとめられる先行病変
1)癌前駆症 
→Bowen病、光線角化症、白板症、色素性乾皮症、汗孔角化症、外陰萎縮症
2)瘢痕性病変
→熱傷瘢痕、慢性放射線皮膚炎、尋常性瘢痕、慢性膿皮症、円板状エリテマトーデス
3)その他  
→包茎、先天性多型皮膚萎縮症、栄養障害型表皮水疱症、尖圭コンジローム、扁平苔癬

ケラトアカントーマ

今日の一問各論3 「皮膚・頭頸部疾患」
(問題)
ケラトアカントーマは自然消退する。



(答え)○

(解説)ケラトアカントーマとは、顔面のとくに硬毛部や手背に突然単発し、数ヵ月で急速に成長して2cm径にも達する半球状(噴火口型のドーム状結節)の表面平滑な腫瘍で、中央に大きな角栓をいれる。毛包に発生した良性腫瘍とされるが、病理組織学的に有棘細胞癌に酷似する。

大半が数ヶ月の経過にて自然消退するが、一般的に生検を含めて全摘される(病巣の全体的構築の把握が重要であるため&治療のため)。有棘細胞癌との鑑別が重要である。

・治療
生検時に全摘or一部生検して自然消退を待つor放射線照射orステロイド、ブレオマイシンの軟膏外用もしくは局注
エトレチナート内服or凍結療法

脂漏性角化症

今日の一問各論3「皮膚・頭頸部疾患」
(問題)
脂漏性角化症ではLeser-Trelat徴候がみられる。



(答え)○
(解説)脂漏性角化症は、老人性疣贅ともいう。中年以降の顔面、頭部、体幹などにみられる疣贅状の良性腫瘍である。表皮や毛包漏斗部の角化細胞由来である。直径1〜2cmまでの境界明瞭な灰褐色〜黒褐色の隆起性結節を呈する。治療は凍結療法あるいは切除を行う。半年以内に全身に脂漏性角化症が多発し痒みを伴う場合は、Leser-Trelat(レーザー・トレラ)徴候と呼ばれ、内臓悪性腫瘍合併の可能性がある

[補足]
Leser-Trelat(レーザー・トレラ)徴候とは、数ヶ月の内に脂漏性角化症の丘疹が急激に多発し、掻痒を伴う状態をいいます。内臓悪性腫瘍(とくに胃癌)が存在する可能性が高いため、全身検索が必要である。
 
脂漏性角化症は、表皮系腫瘍の内のひとつです。表皮系腫瘍には、1)脂漏性角化症 2)澄明細胞性角化症 3)疣贅状異常角化症 4)汗孔角化症 などがあります。

小児のリンパ管腫

今日の一問各論3 「皮膚・頭頸部疾患」
(問題)
小児のリンパ管腫は頸部に好発する。



(答え)○
(解説)リンパ管腫lymphangiomaとは、種々の大きさに拡張したリンパ管の限局性増殖のことであり、真の腫瘍性性格をもつ病変であるかどうかについては疑問がもたれており、現在ではその大部分は先天性のリンパ管の組織奇形と考えられている。
 
新生児期〜小児期に認められることが多く、頭頚部,体幹,四肢の皮下組織のいずれの部位にも発生するが、とくに新生児期における頚部の巨大な嚢胞状リンパ管腫はヒグローマ(cystic hygroma)としてよく知られている。そのほかリンパ管腫はまれに肺,消化管,脾,肝,骨などに発生することもある。

[補足]
慣習上、1)毛細管リンパ管腫capillary lymphangioma, 2)海綿状リンパ管腫cavernous lymphangioma, 3)嚢胞状リンパ管腫cystic lymphangiomaの3種に分類されており、いずれも良性病変である。
 
新生児にみられるリンパ管腫の他には、長期間にわたるリンパ浮腫のある部位に生じ、異型性の強い腫大した内皮細胞でおおわれた管腔形成を示す病変があり、リンパ管肉腫lymphangiosarcomaと呼ばれ、なかでも乳房切除術後にリンパ浮腫を生じた患側上肢に発生するものはスチュワート・トリーヴス症候群Stewart‐Treves syndrome(postmastectomy lymphangiosarcoma)として有名である。

しかし、リンパ管肉腫と血管肉腫angiosarcoma(悪性血管内皮腫maligmant angioendothelioma)とをその組織像から区別することは困難であり、両者の腫瘍性内皮細胞を超微形態学的にあるいは免疫組織化学的に明確に区別する知見はまだ得られていない。そのため最近ではリンパ管肉腫は、angiosarcoma associated with lymphedemaとして扱われている。
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2006年02月27日より運営している医学系ニュースサイトです。
当初はレポートの掲載や医師国家試験の問題解説を行っていましたが、そちらは『医学生のレポートやっつけサイト』に移行しており、こちらは医学ニュースを取り扱うこととなりました。
国内の3大疾病である癌、脳卒中、心筋梗塞から稀な難病、最新の治験・治療法など、学んだことを記していきたいと思います。時には微笑ましいニュースから、社会的な関心事となっている医学の問題、感動的な闘病記など、幅広く取り扱っていきたいと思います。ブログパーツ
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