・若年性アルツハイマー病とは
アルツハイマー病は、遺伝性を認める「家族性アルツハイマー病」と、認めない「孤発性アルツハイマー病」に大別される。
また発症年齢により、65歳を境に若年性、および晩発性アルツハイマー病に分類することもできる。若年性アルツハイマー病の場合、何らかの遺伝素因が関与する可能性が高い。これまで家族性アルツハイマー病の原因遺伝子としてAPP(アミロイド前駆体タンパク質)、プレセニリン1(PS1)、プレセニリン2(PS2)をコードする遺伝子が同定された。このなかでAPPは日本でも1991年にその遺伝子変異(717 valineがIsoleucineに変異する例)が新潟大学のnaruseらによって報告されたが、実際には日本人にAPP遺伝子変異が見出される頻度は少ない、とされている。

・症状
 若年性アルツハイマー病も老年性と同じように、最初は、もの忘れが増える、日付や自分のいる場所がわからなくなる、感情表現など精神活動が低下する、といった症状が見られる。老年性よりも病気の進行が早く、症状も重くなる傾向が見られる。
 前駆期症状としては、
1.複雑な精神機能を必要とする作業の質と量が変化する。
2.仕事の能率と量が低下する。
3.全体状況を判断することが困難になり、細部にこだわるようになる。
4.その人らしい「個性」が失われてくる。
5.何となくだるいというような、不定愁訴が増える。
6.頭痛やめまい、うつ気分、不安感などで悩むことが多くなる。
7.根気が続かない、疲れやすくなる。
(武田雅俊氏、篠崎和弘氏、西川隆氏による「臨床症候」より)

・治療
アセチルコリン分解酵素阻害薬、塩酸ドネペジル(商品名アリセプト)が認知改善薬としてアルツハイマー型痴呆を中心に使用されている。日本では1999年に薬価基準に収載され保険診療にて使用されている。記憶や認知機能にアセチルコリン作動性ニューロンが関与しているという説があるが、ドネペジルはアセチルコリンの機能を高めるため記憶機能などが高まるものである。

その他、アルツハイマー型痴呆に伴い、不眠、易怒性、幻覚、妄想などの「周辺症状」と呼ばれる症状に対して、適宜対症的な薬剤(睡眠導入剤、抗精神病薬、抗てんかん薬、抗うつ薬など)の投与が有効な場合がある。


その他の治療として、散歩などによる昼夜リズムの改善、なじみのある写真や記念品をそばに置き安心感を与えるなど、薬物以外の介入が不眠や不安などに有効な場合もある。

介護保険やデイケアなど社会資源の利用も有用である。


「私の頭の中の消しゴム」や「明日の記憶」で有名になった、若年性アルツハイマー病。

そもそも若年性アルツハイマー病とは、40代から65歳までに発症するアルツハイマー病。10代〜30代の若い人で不安を感じている人がいるようですが、その心配は杞憂のばあいがほとんど。さらに、若年性アルツハイマー病は、老年性のように誰もがかかる可能性がある病気ではありません。若年性アルツハイマー病の原因は、遺伝によるものがほとんど…など、一般的なアルツハイマー病との違いがあります。

若年性アルツハイマー病は、早期発見、早期治療が大きな意味を持つ病気ですので、上記のような前駆症状でチェックなさるのも良いかもしれません。