2007年02月25日放送の「ザ・ノンフィクション」で特集されていたEXILE。
その中で、ツイン・ボーカルのSHUNが脱退したことや、もう一人のボーカルATSUSHIの
声帯ポリープによる喉の不調、MATSUのベーチェット病によるブドウ膜炎で左目の失明の危機などが放送されていた。


ATSUSHIさんは左声帯のポリープで手術を受け、見事に復活しました。声帯の中央部に白色のポリープが形成されていました。

そもそも、声帯は声を出す器官。この声帯が震えることと後きちんと閉鎖した上で震えることできれいな声が出ます。

ところが、ATSUSHIさんのように、ここのポリープ、つまり声帯の突出物があると声帯がきれいに閉じず、嗄声という『声の嗄れ』が起こります。声を出せない、きれいな声が出ないのは『発声障害』ですが、そのひとつの原因疾患がこれです。左右どちらか、あるいは少ないながら両方にポリープができて閉じなくなる状態です。

原因は一番はじめに何らかの炎症により、声帯の粘膜上皮下に出血がおこります。
これは炎症により、たとえば性喉頭炎などで粘膜が充血してるときあるいは大声の張
り上げによって、または声帯の激しい振動によって起こると言われています。

そのとき粘膜上皮下の血管が敗れますが、一番表面の声帯上皮が強靭なために破れ難く、結局その上皮の下に、まず血腫をつくります。これが原因ではないかと言われています。

また、ポリープには赤色と白色のものがあります。
赤いものは、まず声帯粘膜固有層浅層の血管が破れて粘膜内に出血し、血管内に血栓が生じ、次に反応性に結合組織の増生、血管からの滲出、さらに出血のくり返しが加わり限局性の腫瘤が形成されたものと考えられます。
白いものは、発生機序は不明ですが、内容物は血漿様の液体と線維と考えられています。

症状は嗄声(声の嗄れ)ですが、まず最近のものは病院で診断を受け、吸入、服薬と
共に、声を出さないでおくと、炎症だけにかなり軽快する場合がありますのですべて
が手術の対象ではありません。

しかし2、3年も嗄声があるとか、大きいものとかは、全身麻酔で「ラリンゴマイクロ
サージリー」という手術で、顕微鏡下でポリープを除去する手術です。

原則としてポリープは大きくなることはあっても悪性細胞はありません。

ベーチェット病を患っているMATSUさんは、現在、左目の中央部が白色で見えなくなっているといいます。また、報道の中では、腸管潰瘍による腹痛をきたしていたようです。

ベーチェット病(Behcet's disease)とは、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つの症状を主症状とする慢性再発性の全身性炎症性疾患です。

特に、目に起こる症状が、この病気でもっとも重要な症状です。
ほとんど両眼が侵されます。前眼部病変として虹彩毛様体炎が起こり、羞明、瞳孔不整がみられます。後眼部病変として網膜絡膜炎を起こし、失明に至ることがあります。

"完全型"や"不完全型"ベーチェットといった言葉がMATSUさんの口から出てきましたが、これは診断にまつわるものです。経過中に4主症状(口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状)の出現したものが"完全型"であり、また、不完全型は、
a.経過中に3主症状(あるいは2主症状と2副症状)が出現したもの
b.経過中に定期的眼症状とその他の1主症状(あるいは2副症状)が出現したもの
に分かれます。

治療法としては、この病気は全身的に血管閉塞が来やすい傾向があるので、軽度の抗凝固療法や血管拡張療法を行うと症状出現の頻度が低下することが多くみられます。口腔内アフタに対してはセファランチン、エパデール等が有効な場合があります。

この病気のもっとも重要な治療は眼病変、即ちぶどう膜炎に対しての適切な治療です。基本的にはコルヒチン(以前は痛風の特効薬とされていた)を0.5mg〜1.5mgを経口内服します。ステロイド薬の点眼や眼周囲注射も発作期には有効だとされています。

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