2007年2月28日放送の「ザ!世界仰天ニュース」で、若年性アルツハイマー病が取り上げられていた。

福祉の仕事に携わる太田正博さん51歳。
家族と離れて単身赴任中だったが、このころから物忘れが多くなってきた。そんな頃、自宅から通える長崎市内の中央児童相談所へ転勤となり、家族と共に暮らし始めた。

新しい職場では課長に昇進し、忙しい毎日を過ごしていた。しかし、病は少しずつ進行していった。そんなある日、突然太田さんは帰り道が分からなくなってしまった。

太田さんは精神的に不安定になり、仕事をこなす事が苦痛になってきた。自宅でも何度も同じ事を奥さんに聞くようになり、職場では「ハンコの押し忘れ」や「会議で進行役ができない」などミスがどんどん露呈し始めた。

奥さんと共に所長に勧められた心療内科で、長谷川式簡易知能評価スケールによる検査を行った。この時太田さんの結果は、30点満点中20点というボーダーラインだった。

退職したあと、発症から7年経った現在は週2回デイケア施設に通いながら、月1,2回のペースで菅崎医師と作業療法士の上村さんと一緒に講演活動をし、病と闘い続けている。



「明日の記憶」や「私の頭の中の消しゴム」などで有名になった若年性アルツハイマー病。

若年性アルツハイマー病も老年性と同じように、最初は、もの忘れが増える、日付や自分のいる場所がわからなくなる、感情表現など精神活動が低下する、といった症状が見られる。老年性よりも病気の進行が早く、症状も重くなる傾向が見られる。
 前駆期症状としては、
1.複雑な精神機能を必要とする作業の質と量が変化する。
2.仕事の能率と量が低下する。
3.全体状況を判断することが困難になり、細部にこだわるようになる。
4.その人らしい「個性」が失われてくる。
5.何となくだるいというような、不定愁訴が増える。
6.頭痛やめまい、うつ気分、不安感などで悩むことが多くなる。
7.根気が続かない、疲れやすくなる。
(武田雅俊氏、篠崎和弘氏、西川隆氏による「臨床症候」より)
などがあります。

空間把握能力や情報処理能力の低下がみられ、家に帰れなくなったり、仕事に対応できなくなってしまう。

治療としては、完治できるものはまだありませんが、アセチルコリン分解酵素阻害薬、塩酸ドネペジル(商品名アリセプト)が認知改善薬としてアルツハイマー型痴呆を中心に使用されており、進行を止めることが期待されています。

本人は元より、患者家族の方々も、辛い思いをされているということが、今回の放送で分かりました。周囲の方々の理解が広まるのを、期待いたします。

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