
アレルギーは、ウイルスなどの抗原と抗体の結合(抗原抗体反応)によって引き起こされ、Th2ケモカインは、その後のアレルギー症状の悪化に関与する。今回の実験で、アレルギー症状が引き起こされた後のTh2ケモカインの働きをBB536が抑制したことから、森永では「(BB536は)アレルギーを発症している人の症状を軽減する可能性がある」としている。
BB536は、健康なヒトの腸管から発見されたビフィズス菌で、整腸や感染防御などの機能をもつ。森永ではヨーグルトやサプリメントとして製品化しており、今後、それらの製品でも抗アレルギー効果が期待できるかどうか検証していく方針。今回の研究成果は、開催中の日本農芸化学会できょう発表する。
(ビフィズス菌でアレルギー症状を軽減 森永乳・東大の研究)
アレルギー反応はB細胞が作るIgE抗体によりおこります。IgE抗体は粘膜や皮下組織などの表面にあるマスト細胞(肥満細胞ともいう)の細胞膜上にあるIgE受容体に強い親和性があるため、血液中にとどまらず、マスト細胞に結合した状態でとどまります。
そこにアレルギーを起こす物質(抗原、アレルゲン)がくるとマスト細胞表面のIgE抗体と反応してマスト細胞から化学物質を大量に含んだ顆粒を放出し、その化学物質によって発赤、かゆみ、平滑筋の収縮といったアレルギー炎症反応が起ります。
B細胞がIgE抗体を作るためには、T細胞の助けが必要です。T細胞にはTh1細胞とTh2細胞の2種類がありますが、Th2細胞から分泌されるIL-4サイトカインがB細胞に作用してIgE抗体が作られることが分かっています。ですから、アレルギーのヒトではTh2細胞が増えています。一方、Th1細胞は細菌感染に働く細胞で、Th2細胞は互いに制御しあっていてTh2細胞が増えないようにしています。現代人は、生活環境が清潔になり、食べ物に含まれる抗生物質を摂取しているため、Th1細胞は不要になり,Th2細胞が増え易い身体になっています。
故に、アレルギー体質の人は、いかにしてTh2細胞を押さえ込むかが重要になってくるわけです。今回の発見では、どうやらそのことが期待できそうな研究結果のようです。
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