インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後に家を飛び出そうとするなどの異常行動を起こした女児が、その後の検査で、インフルエンザではないとの結果が出たことが28日、分かった。こうした患者が明らかになるのは初めて。タミフル服用後の異常行動の原因はインフルエンザ脳症ではないかとの指摘があるが、タミフルの影響を示す例として注目されそうだ。女児を診療した都立八王子小児病院の久保田雅也医長(小児神経)が、タミフルの輸入販売元の中外製薬に報告した。
 
女児は9歳だった昨年3月、近くの開業医を受診した。39度の発熱で風邪と診断されたが、家族の要望でタミフルや解熱剤などを処方された。
 
その日の夜、女児はタミフルを服用した後に就寝したが、2、3時間後に目覚め、叫んで家の外へ飛び出そうとした。家族が体を押さえ、異常は5分ほどでおさまった。

約1時間後に同小児病院を受診、久保田医長が診察したところ、意識は清明で、受け答えも正常だった。インフルエンザの迅速診断キットで検査したが、結果は陰性だった。さらに、のどの粘液と血液を採取し、東京都健康安全研究センターに検査を依頼したが、インフルエンザウイルスは検出されなかった。
 
久保田医長によると、小児病院受診時の女児の体温は36.8度。異常行動から約1時間で熱が急に下がるとは考えにくく、原因が高熱だった可能性は薄いという。てんかん発作が原因とも考えられるが、1年後の今もてんかんの症状はなく、女児はてんかんではないとみられる。


以前からタミフルと異常行動の関係性としては、「インフルエンザ脳症が原因ではないか?」と指摘されてきていた。

しかし、今回のケースではそれが否定され、タミフル自体に異常行動の原因があるのではないか、少なくともインフルエンザ脳症が原因ではないという可能性が強いのではないか、と思われる。

本症例では、ご家族の希望もあり、タミフルの投与がなされているようですが、その前に迅速診断にてインフルエンザの結果を待ってから、タミフル投与をすべきではなかったのではないでしょうか。取り押さえることが出来て、事なきをえましたが、一歩間違えたら…と背筋が寒くなるような思いです。

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