久留米大学医学部の内村直尚助教授は、平成16年から3年にわたり、睡眠と生活習慣病との相関を明らかにする「働く世代の睡眠実態調査」を行った。

調査結果によると、調査対象者(35〜59歳の勤労者約6,000人)の51.6%は高血圧症、高脂血症、糖尿病の生活習慣病のいずれかを治療中か、健康診断で指摘されていた。このうち31%は不眠で悩んだ経験があった。一方、生活習慣病のない人で、不眠で悩んだ経験のある人は24.9%。生活習慣病を持つ人の方が、不眠の悩みを抱える人が多かった。

しかし、生活習慣病のいずれかで治療中の人で、かかりつけ医に「眠れていますか?」と尋ねられた経験のある人は33.5%しかいなかった。

内村助教授は「不眠は自覚できるから、生活習慣病に介入する方法としては、治療が最も簡単だ。しかし、不眠の治療は最も行われていない。不眠経験者の多くが医師に相談することも、医師から問われることも少ない」と、睡眠に対する意識の低さを指摘する。
(睡眠時無呼吸症候群 肥満も一因の生活習慣病)


睡眠時無呼吸症候群の定義とは、
・一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上おこる。
・または、睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上おこる。
というものです。

厚生省では睡眠1時間あたりの低呼吸数が20回以上おこる場合では、5年後の生存は84%(5年後の死亡率は16%)と報告しています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が止まった状態(無呼吸)が断続的に繰り返される病気です。その結果十分に睡眠がとれず、日中の眠気、集中力、活力に欠ける、居眠りがちになる、居眠り運転で事故や重大事故などを起こしやすくなります。

問診などでSASの疑いがあると判断された場合は、診断装置を用いた検査に進みます。
無呼吸は夜発生するため、まずは簡易的にアプノモニターのような携帯型の簡便な装置で在宅検査を行なうことが多いようです。疑いが強い場合、しっかり測定するために通常は夜間に入院検査で行います。

治療としては、患者が肥満者の場合、減量により上気道周辺の脂肪の重さによる狭窄を改善することを考えます。

つぎに、持続陽圧呼吸療法といって、CPAP(continuous positive airway pressure ; シーパップ)装置よりチューブを経由して鼻につけたマスクに加圧された空気を送り、その空気が舌根の周りの空間を広げ吸気時の気道狭窄を防ぐ方法があります。

CPAP装置には大きく分けて2タイプあり、ひとつは固定CPAPと呼ばれ、もう一つはオートCPAPと呼ばれる。いずれも日本国内では保険診療として認められており、一般的な給与所得者にとって大きな負担と感じられない程度の費用で利用することができます。保険診療扱いで、「装置をレンタルして使う」ようなスタイルのため、症状の有無に関わらず一ヶ月に最低1回は担当医師の診察が必要です。

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や不整脈などの合併症を起こすこともあります。

放置すると日中の眠気や集中力低下が事故につながるリスクがあります。例えば、スリーマイル島やチェルノブイリの原発事故、スペースシャトル「チャレンジャー」の爆発も、SASが原因とされているそうです。

放っておくと、意外に怖いSAS。眠りが浅い、日中耐えられない眠気が襲ってくる、集中力の低下やいびきがひどいなどのことに心当たりがあったら、一度、病院を訪れた方がよろしいかも知れません。

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