インフルエンザ治療薬「タミフル」の副作用を調査する研究費に、輸入販売元の中外製薬の資金が使われていたことが30日分かり、被害者からは厚生労働省や研究班への批判の声が上がった。一方、この日会見した研究班のメンバーは、寄付について厚労省に報告し、承認を得て進めていたにもかかわらず、研究班から突然外されたことに不信感を募らせた。

会見した厚労省医薬食品局の中澤一隆総務課長は、中外製薬から研究資金が渡っていた3人を研究班から外したことについて「社会的な関心が高く、李下に冠を正さずだ。心苦しいが、やめてもらうことにした」と説明した。しかし、資金流用を厚労省の担当者が黙認していたことには「不信を招くもので問題だった」と謝罪したものの、言葉少なだった。

一方、研究班の横田俊平・横浜市立大教授と藤田利治・統計数理研究所教授も記者会見。冒頭、「一企業からの寄付金は好ましくなく、重要な調査に無用な誤解を与えた」と謝罪したが、「厚労省が研究の必要性を認めながら、費用を調達できなかったことが原因で、研究班を辞めなければいけない理由はない」と話し、同省の対応を厳しく批判した。

さらに中外製薬も会見。藤田晴隆専務らによると、同社は今回の寄付について厚労省に相談したという。その際、同省安全対策課は「研究費拠出を所轄しているのはうち(安全対策課)。所轄部門に伝えたということになるのではないでしょうか」として反対しなかったため、了解を得たと理解したという。

(タミフル:中外製薬寄付金 厚労省に募る不信 研究者、患者側双方から)


製薬会社からの研究費というのは、病院や研究者にとって日本を問わずアメリカなどでも重要なものであるとのこと。たしかに今回のような当事者企業からの寄付金は好ましくない。

しかし、厚労省管轄の研究で、しかも関心の非常に高い問題にもかかわらず、研究費を捻出することができなかったという事態は、それこそ問題にすべきことのように思われる。寄付金問題がクローズアップされているが、こうした厚労省の問題認識の甘さもしっかりと今後の対策すべきことのように思われる。

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