
フィンランドの国立公衆衛生研究所のギャン・フー主任研究員らがパーキンソン病の病歴がない25歳から74歳の男女合わせて5万1,000人について18年間追跡調査した。
その結果、324人の男性と309人の女性にパーキンソン病がみつかった。そのなかで2型糖尿病にかかった人がパーキンソン病にかかる可能性は83%も高かかった。ボディー・マス・インデックス(BMI)や飲酒、コーヒーや茶、喫煙、運動量などの条件を付加しても可能性が高いことには変わりなかった。
パーキンソン病は脳細胞か神経細胞が死滅または損傷することで起こる。これらの細胞はドーパミンと呼ばれる運動機能を制御する物質を分泌する。
糖尿病はインシュリンを適切に使えなくするかインシュリンの分泌機能を劣らせる。インシュリンはグルコースをエネルギーに変えるために必要な物質で、不足すれば脳や神経の細胞がエネルギーを得られず、ドーパミンの分泌が妨げられるとされている。
米国には150万人のパーキンソン病患者がおり、糖尿病との関係が明確になったことで肥満の危険性がいっそう認識されそうだ。
(肥満は万病…糖尿病患者はパーキンソン病にかかりやすい)
パーキンソン病とは、ふるえ、動作緩慢、小刻み歩行を主な症状とする病気です。日本では、人口10万当たり約100名の患者さんがおられます。
その原因としては、脳の中の黒質という部分の神経細胞の数が減ることが原因です。ここの神経細胞は、突起を線条体という部分に送っており、またドパミンという物質を含んでいるので、線条体のドパミンが減少します。これが色々な症状の原因と考えられています。黒質の細胞が何故減るのかはまだよくわかっていませんが、ミトコンドリア呼吸障害や活性酸素の生成増大が関与するのではないかと考えられています。
今回の研究では、理由は分かりませんが、2型糖尿病との相関があったと明らかになりました。神経細胞がエネルギーを得られない→ドーパミンの分泌が妨げられるという論理は無理があるように思いましたが、この調査結果は、今後パーキンソン病の研究に関して重要なものになると考えられます。