52歳女性

結婚25年、専業主婦としてしっかり一家を支えてきたY・Tさん。半年前から生理がなく、もう自分は閉経したものと思っていましたが、ある日、半年振りの出血に気付きます。3週間後、また突然、生理周期より早い出血があったY・Tさん。以前とはちょっと違う生理に少し引っかかるものがありましたが、友人から「更年期だから生理が乱れるなんて当たり前」と言われ、ひと安心していました。しかし、その後も異変は続き、とうとう下腹部の張りや大量の出血が起こるようになった。

検査の結果、転移寸前の段階で病が発見されたY・Tさん。無事摘出手術も成功。

[症状]
1)半年振りの生理
2)生理が早く来る
3)出血が長引く
4)下腹部の張り
5)大量の出血

子宮にできる悪性腫瘍の事を総称して子宮がんといい、婦人科系のがんのなかでは最も発生頻度の高いがんになります。

子宮は女性の生殖臓器であり、骨盤の中央に位置しています。子宮の出口付近(膣に近い部分)を子宮頚部、子宮の上部、袋の部分を子宮体部と呼び、それぞれの部位に生じるがんを子宮頚部癌または子宮頸がん、子宮体部癌または子宮体がんとよび、同じ子宮がんでも区別して考えられます。

特徴としては、
(1)50歳以降の閉経後に多く、近年では増加傾向あり
(2)腺癌が多い
(3)危険因子:未産・不妊、月経異常、肥満、乳癌の既往
などがあります。

閉経後(1年以上月経がない場合)や、閉経周辺時期の不正性器出血が特徴とされています。半年振りの生理と思い込んだ出血や、周期の乱れなどの生理の症状。実は、これらの症状は生理、すなわち月経が原因ではなく、不正出血という子宮体癌の代表的な症状。だからこそ、女性の場合、月経をきちんと見極めることが何よりも大切だといわれています。

そもそも月経とは、エストロゲンという女性ホルモンの刺激によって増殖した子宮内膜が、妊娠しないと不要になり、血液と共に流れ出る現象のこと。ところが、癌が出来ると、癌細胞自体が出血を起こすため、本来の周期以外に出血が起きます。これが不正出血。このサインに気付くことこそ、子宮体癌を見つける最大のポイントです。

子宮癌の検査を受け、問題は無かったはず。なぜ、見つからなかったのでしょうか?実はここに落とし穴があったのです。市町村で行う子宮癌検診はたいていの場合、子宮頚癌の検査のみ。子宮頸癌とは、子宮の入り口に出来る癌のこと。奥に出来る体癌とは全く別のもの。体癌を見つけるには、体癌専門の検査をする必要がありました。

更年期は卵巣機能が急激に衰えるため、この病の発症が最も多い年代。だからこそ少しでも疑わしいところがあれば、勝手に自己判断せず、病院で検査を受けることが大切だと言われています。

手術療法が原則で、放射線療法、化学療法が術後に追加される場合があります。