ショウジョウバエの全遺伝子を解析し、細胞分裂に必要な205の遺伝子を特定することに、名古屋大高等研究院の五島剛太特任准教授(32)らの研究グループが成功した。6日付米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。がん細胞の分裂を阻止する治療薬開発につながる成果だという。
五島氏らは、2006年のノーベル医学・生理学賞の受賞対象となった「RNA干渉法」を用い、約1万4,500あるショウジョウバエの遺伝子の機能を1つ1つ破壊し、細胞分裂に必要な205遺伝子を特定した。
膨大な数の遺伝子を分析するために、五島氏らは、全自動顕微鏡とコンピューターによる自動画像解析の手法を確立。従来は5年かかる分析を1年の短期で実現した。
五島氏は「今回特定した205の遺伝子のほとんどは、人間にも存在し、人間の細胞分裂にも重要と思われる。がん細胞の分裂を止める遺伝子治療のターゲットとなりうる」と話した。
(細胞分裂に必要な205の遺伝子を特定 がん治療薬開発に道)
全てのがんは、遺伝子の突然変異によって発生します。
身体を構成している数十兆の細胞は、分裂・増殖と、「プログラムされた細胞死」(アポトーシス)を繰り返しています。正常な状態では、細胞の成長と分裂は、身体が新しい細胞を必要とするときのみ引き起こされるよう制御されています。すなわち細胞が老化・欠損して死滅する時に新しい細胞が生じて置き換わります。
ところが特定の遺伝子(p53など、通常複数の遺伝子)に突然変異が生じると、このプロセスの秩序を乱してしまうようになります。すなわち、身体が必要としていない場合でも細胞分裂を起こして増殖し、逆に死滅すべき細胞が死滅しなくなります。
このようにして生じた過剰な細胞は組織の塊を形成し、腫瘍あるいは新生物と呼ばれます。腫瘍には良性(非がん性)と悪性(がん性)とが存在する。良性腫瘍は、稀に命を脅かすことがあるが、身体の他の部分に浸潤せず肥大化も見られません。一方、悪性腫瘍は浸潤・転移し、生命を脅かします。
全ての遺伝子の突然変異ががんに関係しているわけではなく、特定の遺伝子の変異が関与していると考えられています。また、発癌には多段階発癌説が提唱されています。すなわち、癌に関与する因子ならびに癌に至るプロセスは単一ではなく、複数の遺伝子変異などが関与すると考えられています。
がん発生に関与すると思われる遺伝子の突然変異が起こり、細胞分裂・増殖に歯止めがきかなくなる…こうしたプロセスの内、細胞分裂の遺伝子が特定されれば、そのうちのどこに異常があるのかをつきとめ、ターゲットとなる遺伝子を、遺伝子治療によって治す、という夢のような話が展開されようとしています。臨床応用はまだまだ先でしょうが、侵襲性や確実性の高い治療が期待できそうです。
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五島氏は「今回特定した205の遺伝子のほとんどは、人間にも存在し、人間の細胞分裂にも重要と思われる。がん細胞の分裂を止める遺伝子治療のターゲットとなりうる」と話した。
(細胞分裂に必要な205の遺伝子を特定 がん治療薬開発に道)
全てのがんは、遺伝子の突然変異によって発生します。
身体を構成している数十兆の細胞は、分裂・増殖と、「プログラムされた細胞死」(アポトーシス)を繰り返しています。正常な状態では、細胞の成長と分裂は、身体が新しい細胞を必要とするときのみ引き起こされるよう制御されています。すなわち細胞が老化・欠損して死滅する時に新しい細胞が生じて置き換わります。
ところが特定の遺伝子(p53など、通常複数の遺伝子)に突然変異が生じると、このプロセスの秩序を乱してしまうようになります。すなわち、身体が必要としていない場合でも細胞分裂を起こして増殖し、逆に死滅すべき細胞が死滅しなくなります。
このようにして生じた過剰な細胞は組織の塊を形成し、腫瘍あるいは新生物と呼ばれます。腫瘍には良性(非がん性)と悪性(がん性)とが存在する。良性腫瘍は、稀に命を脅かすことがあるが、身体の他の部分に浸潤せず肥大化も見られません。一方、悪性腫瘍は浸潤・転移し、生命を脅かします。
全ての遺伝子の突然変異ががんに関係しているわけではなく、特定の遺伝子の変異が関与していると考えられています。また、発癌には多段階発癌説が提唱されています。すなわち、癌に関与する因子ならびに癌に至るプロセスは単一ではなく、複数の遺伝子変異などが関与すると考えられています。
がん発生に関与すると思われる遺伝子の突然変異が起こり、細胞分裂・増殖に歯止めがきかなくなる…こうしたプロセスの内、細胞分裂の遺伝子が特定されれば、そのうちのどこに異常があるのかをつきとめ、ターゲットとなる遺伝子を、遺伝子治療によって治す、という夢のような話が展開されようとしています。臨床応用はまだまだ先でしょうが、侵襲性や確実性の高い治療が期待できそうです。
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