
妊娠異常は、大量出血など母体や胎児を危険な状態にさらす可能性があり、研究チームは「体外受精を受けようとするカップルに、異常を起こしやすいことを理解してもらうことが必要だ」と話している。
同病院で03年8月〜06年7月に出産した女性2844人について調べた。このうち自然に妊娠した人が2454人、過去に不妊外来へ行った経験がある人が195人、体外受精を受けた人が195人だった。
年齢や妊娠経験の違いを考慮したうえで、
1)胎盤が子宮口を覆う「前置胎盤」
2)胎盤が出産前に突然はがれる「常位胎盤早期はく離」
3)さい帯の付着位置がずれる「卵膜付着」
になる可能性を比較。体外受精を受けた人は、さい帯の卵膜付着が起こる確率が自然妊娠の人の9倍、胎盤の早期はく離は5.5倍、前置胎盤は5.4倍だった。一方、不妊外来へ行った経験があるだけの人は自然妊娠と差がなかった。
研究チームの酒見智子医師(女性総合診療部)は「受精卵を人工的に操作すること、子宮への着床時期が自然妊娠より早めになることなど、自然妊娠との違いが妊娠の異常につながっているようだ。体外受精は危険なお産になりやすいという認識を、妊婦も医師も持つ必要がある」と話している。
(体外受精:自然妊娠より高率の妊娠異常 聖路加病院調査)
生殖医療における体外受精(In Vitro Fertilization, IVF)とは不妊治療の一つで、通常は体内で行われる受精を体の外で行う方法です。受精し、分裂した卵(胚)を子宮内に移植することを含めて体外受精・胚移植(IVF-ET)といいます。
費用は約30万〜60万円と高額で通常、卵管閉塞などの器質的原因や、タイミング法・人工授精をしたが、妊娠に至らなかった場合に用いられます。通常は精子を自然受精させるが、乏精子症など精子側の受精障害がある場合には顕微授精(多くの場合卵細胞質内精子注入法: ICSI)を行います。自然での人間の周期あたり妊娠率は平均15%前後だが、IVF-ETの場合25%程となります。
リスクとしては、体外受精は8〜10個の成熟卵(胚を何個移植するかは医師の判断)を治療を受ける女性から採取後に体外で受精させ、さらに培養した胚を子宮に移植するため、多胎も起きやすい。結果、未熟児となってしまう、といったケースもあるようだ。
それ以外にも、今回のケースではさまざまなリスクを伴うかも知れないようだ。まだ発展途上の分野、という認識が必要なのかもしれない。
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