認知症の診断や治療経験が一定以上ある医師を専門医として認定する制度を、日本認知症学会が来年度から始めることを決めた。認知症の早期診断や治療によって、患者の人数を減らすことが目的。15日に東京都内で専門委員会を開き、認定方法などを話し合った。

専門委員会では、来年4月以降、3年間の移行期間を設け、神経内科や精神科、リハビリテーションなどの専門医が一定の基準を満たす場合に、認知症専門医として認定することや、4年目以降は認定試験を実施すること、さらに専門医試験の受験用教科書を作成することで合意した。

認知症の患者は、国内で約170万人と推定されており、2030年には倍以上に増えると予測されている。同学会理事長の井原康夫・同志社大教授(神経病理学)は「今後、5年間で、早期の診断や治療が可能になるだろう。その時に、患者の数を減らすことが専門医制度の最大の目的。患者や家族にとっても、どの医師に相談すればよいかが分かりやすくなるというメリットが生まれる」と話している。
(認知症:来年度から専門医認定制度 学会決める)


認知症の原因となる主な疾患には、脳血管障害、アルツハイマー病などの変性疾患、正常圧水頭症、ビタミンなどの代謝・栄養障害、甲状腺機能低下など多岐にわたります。これらの原因により生活に支障をきたすような認知機能障害が表出してきた場合に「認知症」と診断されます。

脳血管障害の場合、画像診断で微小病変が見つかっているような場合でも、これらが痴呆症状の原因になっているかどうかの判別は難しく、これまでは脳血管性痴呆と診断されてきたが、実際はむしろアルツハイマー病が痴呆の原因となっている、いわゆる「脳血管障害を伴うアルツハイマー型痴呆」である場合が少なくないそうです。

若年性認知症など、テレビや映画で題材として取り上げられ、早期に「もしや」と思われてご家族が患者さんを連れてらっしゃる様なことが多くなったといったこともあるのではないでしょうか。そういった場合、専門医の存在により早期発見、早期治療開始、ということが可能になれば、と期待されます。

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