米下院は4月25日、特定の病気にかかる危険性が高いなどの個人の遺伝子情報を基に雇用や保険加入で差別することを禁じる法案を420対3で可決した。今後上院で同様の法案が審議される。
遺伝子差別を禁じる法案は2003年と05年にも提出され、いずれも上院で全会一致で可決したが、産業界の影響が強い下院で廃案になっている。ホワイトハウスも支持を表明しており、成立の可能性が高くなった。
(遺伝子差別:米で禁止へ)
遺伝子情報のもたらす利益は大きいかとは思われます。発病の前にリスクを知り、対策を立てたり、遺伝による体質に合わせて治療に役立てるなど、大きな期待もあります。
しかし一方で、雇用者や保険会社に誤った情報の使われ方をされる恐れもあります。雇用者にとっては、病気をせず、休まない人を使いたいと思うでしょうし、保険会社も病気をしない人が加入者になってくれれば儲かる。逆をいえば、遺伝子による差別が容認される(暗に認められる、という場合もある)ようになれば、そうした"遺伝子"をもった人々は雇用されず、保険に入れなくなってしまう。
そうした悪影響を、はじめから排しておくことは、非常に重要なことではないかと思われます。杞憂ではないか、と現段階では思われても仕方ないかも知れませんが、法整備が後手に回ってしまうような状況よりは、断然、歓迎すべき決定ではないでしょうか。
国内でも、体外受精や病気腎移植の問題など、法整備が難しく、現状に追いついていない問題が山積している。アメリカの影響が、少なからず国内の問題意識を変えてくれたら、と思われる。
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