心と体の性が一致しないことで苦しむ性同一性障害(GID:Gender identity disorder)の治療の中核を担ってきた埼玉医科大学が5月から性転換手術(性別適合手術)の実施を中止したことが明らかになった。形成外科の教授の退職で手術の態勢がとれなくなったという。この手術は患者が戸籍上の性別を変える場合に必要とされる。GIDはようやく社会的に認知されてきたが、約1万人といわれる患者の治療の最終手段が断たれる懸念が出ている。

埼玉医大は98年、国内で初めて公的に性別適合手術を実施。形成外科教授だった原科(はらしな)孝雄医師によると、現在までに延べ357人が手術を受けた。6割は乳房切除術だが、技術的に難しく、国内では前例がなかった男性器形成手術を21例実施している。

山内俊雄学長によると、3月に定年を迎えた原科医師が4月末で退職し、執刀医らによるチーム医療態勢がとれなくなった。手術には熟練した医師が複数必要で、スタッフに経験を積ませてきたが、中心メンバーが体調を崩すなど継承できなかったという。

形成外科は5月から10月までに手術予定だった60人弱に手紙などでキャンセルを伝えた。山内学長は「大学として性同一性障害の治療を続ける方針は変わっておらず、なるべく早く再開したい」と話す。

GID治療は精神科、婦人科、泌尿器科など各科にまたがる。心の性と異なる性器を傷つけるなど深刻なケースもあるが、最終段階にあたる性別適合手術の受け皿は広がっていない。3年前から患者は家裁に申し立てて戸籍の性別を変更することが可能になったが、性別適合手術を受けていることなどが条件になっている。

埼玉医大以外にも岡山大、関西医大などで実施されたが、件数は限られる。特に女性から男性にする場合には高度な技術と経験が必要で、病院挙げての態勢が必要なためだ。「形成医の間で理解が浸透しておらず、やろうという医師はまれなのが現実」と原科医師は話す。一般病院で治療を続けられないか探っているが、手術のリスク、医療保険の対象外なことなどでためらう病院が多いという。
(性転換手術、中核病院が中止 埼玉医大、担当医定年で)


性同一性障害の治療としては、大別して精神科領域の治療および身体的治療があります。身体的治療には、ホルモン療法と性別適合手術があります。

埼玉医大は、国内で初めて公的に性別適合手術を実施したことで有名です。
全国に先駆け、「性同一性障害に関する答申と提言」における「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」に公的に従って、治療がなされています。その埼玉医大で、担当医である先生の退職にともない、中止せざるをえないという事態になってしまったようです。

性別適合手術を含め、性同一性障害の治療は高度な専門家チームを必要とします。日本で公式に手術を施行した実績を持つ医療機関は数カ所で、もちろん、希望者をさばききれる状態ではないようです。そのため、海外で手術を受ける方々が多い、とのこと。

GIDに悩む多くの方々のために、どうにかして先駆者たる埼玉医大が、手術再開できるようになっていただければ、と思われます。

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