奈良県は15日、同県大和高田市の高校で今月3日から4日間、バスケットボール強豪校の合同合宿に参加した愛知県など7県の女子生徒73人が、発熱などの食中毒症状を発症したと発表した。全員軽症で既に回復した。県は5日夕方に食べた仕出し弁当を原因とする食中毒と断定した。

県によると、合宿には11県の11高校から生徒235人が参加。うち、愛媛県21人▽広島県14人▽島根県、愛知県各13人▽沖縄県6人▽三重県4人▽石川県2人が症状を訴え、12人の便からウェルシュ菌を検出した。

奈良県は弁当を作った同県香芝市の仕出し会社「山下食品」(山下真弘社長)に15日から2日間、営業停止を命じた。
(食中毒:7県の女子生徒73人 奈良のバスケット合宿で)


食中毒は、その原因になった因子・物質によって、細菌性食中毒、ウイルス性食中毒、化学性食中毒、自然毒食中毒、その他に大別されます。

今回のケースでは、ウェルシュ菌が問題となっており、細菌性食中毒だと考えられます。

食中毒の直接の原因は、飲食物などに含まれていた有害・有毒な原因物質を摂取することによりますが、その原因物質が直接に毒物として作用する場合と、原因物質が微生物であり、その増殖によって消化管の感染症を発症する場合に分けられます。つまり、
1)細菌によって産生された毒素が原因→毒素型食中毒
2)細菌が腸管で増殖したことが原因→感染型食中毒
となります。

毒素型食中毒のほうは症状が早く現れ(食べられる前に既に毒素が産生されているため)、感染型食中毒のほうが遅く出てくる(腸管で増えるまでに時間が掛かる)という違いがあります。

また、毒素型食中毒の場合、原因となる細菌が食品中で増殖するとともに毒素を産生し、その食品を汚染することが食中毒の原因となります。この場合、増殖後に細菌を殺して除いても、毒素が残っていれば食中毒が発生するので注意が必要です。

毒素型では、黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌が原因となります。
感染型では、腸炎ビブリオやサルモネラ属菌が原因となります。

ウェルシュ菌やO157などは、病原菌が消化管内で増殖する際に初めて毒素を生成され、これは感染型と毒素型の中間に位置するものとして、中間型食中毒と呼ばれます。

これから梅雨の時期になり、食品が傷みやすくなります。ご注意を。

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