全国の不妊クリニックでつくる「日本生殖補助医療標準化機関」(JISART)は4日、友人や姉妹から提供を受けた卵子を夫の精子と体外受精させ、妻の子宮に戻す治療を、正式に認めたと発表した。今後、厚生労働省と日本学術会議、日本産科婦人科学会に承認を申請し、6カ月以内に回答がない場合、実施するという。

治療は、機関の倫理委員会が3月、認める答申を出していた。今回の決定が、学会などで否決された場合、再度、機関の理事会などで論議するという。
(友人・姉妹からの卵子提供を正式に認める JISART)


2007年4月30日に、西日本の不妊クリニックが、友人から提供を受けた卵子を使う不妊治療を計画していて、その際に、日本産科婦人科学会が会告(指針)では禁じている方法ですが、この施設を含む20の不妊治療施設で作る「日本生殖補助医療標準化機関」の倫理委員会が、実施を認めたといいます。この頃から、こういった方法なら卵子提供を認めるという方針だったことが伺えます。

同様の不妊治療では、1998年に諏訪マタニティークリニック(長野県)の根津八紘院長が、妹から卵子提供を受けた体外受精の実施を公表し、同学会は、指針に違反したとして根津院長を除名処分にしたことからすると、大分、進歩的な判断であると思われます。

不妊で悩む多くの夫婦やカップルにこうした方針がとられ、救われていくことを考えれば歓迎すべきことかもしれませんが、それだけでなく代理出産といった問題もまだ残っています。

ガイドライン作りや戸籍に絡んだ法的整備の問題なども、これから解決されることが望まれます。

【関連記事】
友人の卵子を体外受精へ−西日本で不妊治療団体が容認

「代理出産、30〜40代女性7、8人が応募」と根津院長