性同一性障害(GID)と診断され戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう申し立てた奈良県生駒市、森村さやかさん(46)の即時抗告について、大阪高裁(田中壮太裁判長)は11日までに棄却する決定を出した。

GID特例法は変更要件の一つに「子どもがいないこと」を挙げているが、森村さんには離婚した女性との間に子どもが1人いる。田中裁判長はこの要件について「立法過程で最も議論になったことを思えば、維持すべきか、廃止すべきかなど具体的な議論が望まれる」と言及。04年7月に施行された特例法には付則で施行3年後の見直し規定があり、今後の議論に影響を与えそうだ。

決定書などによると、森村さんは昨年11月、奈良家裁に性別変更を申し立てたが、家裁は今年3月、子どもがいることを理由に却下。高裁も家裁の判断を支持した。

森村さんは「高裁が要件見直しに言及したことは一定の成果。国会に法改正を働きかけたい」と話した。
(性同一性障害:大阪高裁、性別変更棄却 「子なし」要件、是非に言及)


2004年(平成16年)7月16日に施行された「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」によって、性同一性障害者のうち特定の条件を満たす者に対して、家庭裁判所の審判を経ることによって法令上の性別の取り扱いを性自認に合致するものに変更することを認め、戸籍上の性別記載を変更できるものとされています。

その法律によれば、性同一性障害者が、以下の5つの条件を満たすとき、家庭裁判所の審判によって許可を得れば性別の変更が認められます。
1)20歳以上であること
2)現に婚姻をしていないこと
3)現に子がいないこと
4)生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
5)その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること

今回のケースでは、「現に子がいないこと」が問題となっています。
母親が2人、あるいは父親が2人存在することになり、子供の地位が混乱することを防止するためと言われています。

ですが、果たしてそんなことが起こりうるのでしょうか?
戸籍の性別変更が可能なレベルまで治療が進んだ当事者は、実際には子も親を『現在の性別』で認識している(納得しなくても、認識せざるをえない)のであると思われます。婚姻状態も、戸籍変更に至る前に当然のこととして終わっていることを考えると、もはや「母親が2人、あるいは父親が2人」存在している状態に、違和感を持っていたとしても、親の戸籍が変更を止められてしまうほどの混乱をきたすとは考えにくいのではないでしょうか。

現に、欧米の立法例を見ると、「子がいないこと」という条件を加えた例は存在しないそうです。本法も、見直しの時期にきているのではないか、と思われます。

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