愛知県の小牧市民病院に入院した男性がMRI(磁気共鳴画像化装置)で検査中に死亡したのは医師らが監視を怠ったためなどとして、遺族が同市を相手取り計約6700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、名古屋地裁であった。永野圧彦裁判長は死亡との因果関係は認めなかったが病院側の過失の一部を認め、同市に計990万円の支払いを命じた。

判決などによると、岐阜県瑞浪市の男性(当時75歳)は04年6月、同市内の別の病院で受けた診察で脳に腫瘍が見つかり、放射線治療を受けるため、紹介された小牧市民病院に同年8月1日に入院した。翌2日、麻酔をかけてMRI検査中に呼吸が停止し、27日後に死亡した。

遺族側は「心筋梗塞の既往症があるのに治療前検査をせず、MRI操作室での監視を怠った」と主張。病院側は「モニターで監視可能で、撮影中には検査室内に入らない」などと反論した。永野裁判長は「高齢者への麻酔による不測の事態に備え、MRI操作室で患者の容体を監視する義務があった」と述べた。
(MRI訴訟:市民病院に990万円支払い命令 名古屋地裁)


MRI検査は、画像診断状、非常に重要で詳細な情報が得られますが、一方で閉塞感や耳元で大きな音がするので苦手な方もいらっしゃいます。お子様や閉所恐怖症の方が、動いたり泣いたりしますと、画像が乱れてしまいます。このため、検査の間じっとしていられない場合は、麻酔薬を使って検査を行います。

麻酔薬の種類が不明ですが、静脈麻酔薬を用いた場合、呼吸が浅くなり血液中の酸素濃度が低くなる可能性もあります。稀ですが、今回のケースのように呼吸が停止する可能性があり、この場合、検査は中止しすぐに蘇生処置に移ります。

今後は、患者さんの既往歴についてしっかりと把握し、検査中に急変することを想定して検査室内で医師が控えていないとならない(モニターでの確認では不十分とのことなので)、ということになりそうです。

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