乳がん患者のうち、乳房のエックス線(マンモグラフィ)などを使った検診でがんが見つかったのは2割に過ぎず、4人に3人は、検診を受けずに自分でしこりなどの異常に初めて気づいて病院を受診したことが、日本乳癌学会の大規模調査でわかった。

自分で発見する場合、早期がんより進行している例が多く、専門家は「早期がんの発見には、マンモグラフィ検診が有効だ。乳がんの死亡率を下げるには、低迷する集団検診の受診率を上げることが不可欠」と指摘している。

同学会は、乳がんの診断や治療を行う全国226か所の医療機関から、2004年度にがん登録した乳がんの新患者約1万4800人(平均年齢57歳)のデータを集計。これは全国の年間新患者数の約4割にあたる。その結果、患者が乳がんに「自分で気づいた」と答えたのが73・8%に上った。検診で見つかったのは20・4%で、このうち自覚症状が全くなかった人は、14・7%だった。

直径2センチ以下の早期がんで見つかったのは45%に過ぎず、43%は2・1〜5センチに達していた。発見時にリンパ節に転移していた人も、3分の1を占めた。リンパ節に転移しない乳がんの10年後の生存率は約9割と高いが、転移をしていると7割以下に落ちるという。

同学会理事長の園尾博司・川崎医大乳腺甲状腺外科教授は「胸を触る自己診断で見つかる乳がんの大きさは平均約2センチで、自然に気づく場合は3センチ以上が多い。マンモグラフィ検診への理解を広げることが大切だ」と話している。乳がんの死者数は、年間約9800人。30〜50歳代の女性のがんでは、死因の1位となっているが検診の受診率は1割台に低迷している。
(乳がん、検診で発見2割…乳癌学会が受診率の向上訴え)


多くの女性が乳癌に最初に気づくのは、ほとんどが自分で「しこり」に気づいたため、との結果のようです。検診にて発見されるのは、たった2割でしかないと判明しました。

その原因としては、乳癌検診の受診率が低いままで、「しこりが無ければ大丈夫」と思われる女性が多いと考えられます。ですが、「胸を触る自己診断で見つかる乳がんの大きさは平均約2センチで、自然に気づく場合は3センチ以上が多い」といったことや、「発見時には既に、リンパ節に転移していた人も、1/3」といったことからも、検診率の上昇を目指す必要があります。

一般的な乳癌のスクリーニング検査としては、問診、触診、軟X線乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査等が実施され、臨床的に疑いが生じると、生検が実施され組織学的診断により癌かそうで無いかが判別されます。

乳癌発症年齢は20代から認められ、45歳がピークとされます。特に40〜50歳代の方は、是非とも乳癌検診を受けられることが望まれます。

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