
「老眼」の進行は、個人差はあるものの、45歳ごろから老眼鏡が必要になることが多く、徐々に進み、60歳前後で度が固定する。近視の人は「老眼」になるのが遅いといわれるが、東京慈恵会医科大学眼科学講座の常岡寛主任教授によると「近視でも水晶体は同じように老化します。眼鏡やコンタクトなどで遠くが見える状態にして、手元(約30センチの場所)を見てはっきりと見えなかったら『老眼』の始まりです」。
この「老眼」の進行を少しでも遅くするには、「目が疲れないように水晶体の負担を少なくすること」と同教授は話す。
目の疲れは三叉神経痛の一種の目の周りの神経痛が原因になっている場合が多い。眼球の周りにある神経を養う血液の循環が悪くなっているのが原因と考えられる。同教授は、「目を蒸しタオルなどで温めると血流が良くなり、疲れがとれます」とすすめる。
逆に気持ちいいからと冷やすのは間違い。冷やすと血管が収縮して血流が悪くなり、さらに痛みや疲労感が強くなる可能性がある。冷やして気持ちがいいのは、神経が麻痺しているだけで一時的なものなのだ。
そのほか、「部屋全体の照明を明るくすること。暗い部屋で、スポットライトだけをつけて本を読むと、目の疲れが助長されますよ」と同教授は注意を促す。
さらに、目を疲れさせないためには「眼科の検診を受け、適切な老眼鏡を作るのが一番」(同教授)。無理して老眼鏡を使わないと、眼痛や目のしょぼつき感といった目の疲れによる症状が起こる。眼精疲労は頭痛や肩こりの原因にもなる。
ちなみに、老眼鏡を使うと度が早く進むという説については、「手元がよく見える状態に慣れ、見えないことに気づきやすくなるだけ。早い時期に老眼鏡を作ることで進行が遅くなることもある」(同教授)。
「老眼」が気になり始める40〜50代は、「白内障」など、目の病気が増える年齢。同教授は「老眼鏡を作るために眼科検診を受けることは、目の病気の早期発見にもつながる」という。
■「老眼」の始まりのサイン
★薄暗いところで本が読みづらくなった
★夕方になると、字が見えにくくなる
★読書やパソコンを使用すると、以前よりも目が疲れやすくなった
★近くを見ているときに、遠くに視線を移すと、一瞬ピントが合わない
★字を読み違えることがよくある
★肩こりや首筋のこり、頭痛などをよく感じるようになった
★以前と同じ姿勢で字を書こうとすると、目がしょぼしょぼしたり、頭がぼおっとする
★目を酷使すると翌日まで眼精疲労が抜けない
★携帯電話の文字が見づらくなった
★今まで使っていた近視用の眼鏡をかけると、目が疲れるような気がする
★睡眠不足や疲れているとき、目のかすみをよく感じる
★活字が小さい本を読むのが面倒になった
★通勤電車の中で新聞を読むのが日課だったが、目が疲れるので最近は読んでいない
(目の老化…老眼チェックして白内障を予防!)
老眼は一般的な呼び方で、老視が正式な名称のようです。
老視では、加齢により水晶体の弾性が失われて調節力が弱まり、近くのものに焦点を合わせることができなくなってきます。
40代から60代初めに自覚されることが多いですが、実際には20歳前後から調節力の減少は始まっており、日常生活で字を読む時の距離である30cm前後が見えにくくなるのが、この辺の年齢であるといえます。
老眼の進行を少しでも遅くするには、「目が疲れないように水晶体の負担を少なくすること」が重要なようです。"老い"を認めるのがイヤだと言って、老眼鏡などを使わないと、余計に眼に負担を掛けてしまうことになってしまいます。
上記のチェックポイントに当てはまった人は、一度、眼科を訪れてみてはいかがでしょうか。
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