
WHOは、具体的な規制値は示さなかったものの、日本や米国などでの疫学調査から「常時平均0.3―0.4マイクロテスラ(テスラは磁界や磁石の強さを表す単位)以上の電磁波にさらされていると小児白血病の発症率が2倍になる」との研究結果を支持。「電磁波と健康被害の直接の因果関係は認められないが、関連は否定できず、予防的な対策が必要だ」と結論づけた。
経済産業省は今月、作業班を設置して送電線周辺の超低周波磁界規制の検討を始めたばかり。電磁波の人体影響に着目した規制がない日本も対策を迫られることになる。
(WHO、電磁波対策の法整備を勧告)
電磁波とは、空間の電場と磁場の変化によって形成された波(波動)のことです。空間そのものがエネルギーを持って振動する現象であるため、波を伝える媒体となる物質(媒質)が何も存在しない真空中でも伝わっていくそうです。
波長によって物体に及ぼす作用が少しずつ異なってくる点に着目して、違った呼び方をされることがあります。波長の長い方から、電波・赤外線・可視光線・紫外線・X線・ガンマ線などと呼び分けられています。我々の目で見えるのは可視光線のみですが、その範囲(0.4μm〜0.7μm)は電磁波の中でも極めて狭いです。
最も波長の長い電波は、進行方向に多少の障害物があっても進行することができます。このため、通信や放送などの長距離の情報送信に使用されることが多いそうです。テレビやラジオ、携帯電話などが代表的です。
電波よりも波長の短い光は、物質に吸収されて化学反応や発熱などの相互作用を生じることがあります。この現象は眼が見える理由でもあるが、他に電子レンジやリソグラフィーなどが該当します。
さらに波長が短いX線になると、物質との相互作用が減少し、透過するようになります。この現象を利用することで、レントゲン写真やX線CTを撮影することができます。
世界保健機関が2001年に行った疫学調査では、送電線などから発生する低周波磁場には「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」(Possibly carcinogenic to humans)と分類しています。これは「コーヒー」や「ガソリンエンジン排ガス」と同じレベルにあたるそうです。
「電磁波の健康への影響」は調査自体が難しいそうです(今のところ、健康への影響が"無いこと"の証明が難しいため)。あまりにも心配になりすぎることはないでしょうが、「電子レンジの前でじっと待つ」「何時間も携帯で話し続ける」ということはちょっと止めてみる、という"気の持ちよう"的な対処法を実践してみるのはいかがでしょうか。
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