もちをのどに詰まらせる事故で植物状態になった男性の親族が、加入していた共済団体に障害・入院補償費の支払いを求めた訴訟の上告審判決が6日、最高裁第2小法廷であった。古田佑紀裁判長は「請求者は外部からの作用による事故と傷害との間に因果関係があることを立証すれば足りる」と指摘し、持病の発症といった内部的原因を理由に補償費の支払いを拒む場合、立証責任は共済側にあるとの初判断を示した。
その上で、共済側の上告を棄却。約2200万円の補償費の支払いを命じた2審・東京高裁判決が確定した。一般の保険会社でも、傷害保険や生命保険災害割増特約で共済と同様の規約を定めており、今回の判決は同種の保険金支払いの実務にも影響を与えそうだ。
2審判決などによると、男性=当時(82)=は平成17年2月3日、自宅で昼食時にもちをのどに詰まらせ、低酸素脳症で植物状態になった。男性は「中小企業災害補償共済福祉財団」(東京)に加入しており、規約に基づき、「急激かつ偶然の外来の事故で身体に傷害を受けた災害」で身体の一部に永久の障害が残った場合、補償費を受け取る権利があるため、親族が支払いを請求。だが、共済側は男性が高齢でパーキンソン病や高血圧といった治療で多数の薬を服用していることから、「食事中に突然意識障害に陥ったか、食べ物を飲み込む機能障害でもちをのどに詰まらせた」と内部的原因を理由に補償費の支払いを拒否した。
判決理由で古田裁判長は「請求者は傷害が疾病を原因として生じたものでないことまで立証すべき責任を負うものではない」と判示。その上で「事故が身体の外部からの作用によるもので、事故と傷害との間に因果関係があることは明らか」と指摘し、2審判決を支持した。
(傷害保険、持病で補償拒否 共済側に立証責任)
嚥下障害とは、老化や疾病(脳卒中が最多といわれています)などの原因により、飲食物の咀嚼や飲み込みが困難になる障害をいいます。
通常、咀嚼した食物は舌を使って咽頭へ送られ、嚥下されます。その時、軟口蓋が挙上することで、口腔と鼻腔が遮断されます。また、喉頭蓋で気管への道が蓋をされ、嚥下の瞬間だけ開く食道へと送り込みます。これらの複雑な運動に関わる神経や筋肉に何らかの障害が生じた場合、嚥下障害が起こります。
こうした嚥下障害が起こると、誤嚥が起こって食物が気管に送られてしまい、その結果、誤嚥性肺炎の原因となります。誤嚥は、唾液や食べ物が気管に入ってしまう現象です。窒息や、上記の通り、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
肺炎は、とくに口の中の清潔度や誤嚥の量、誤嚥物の酸性度などが関連するといわれています。また、誤嚥をした場合は通常、むせますが、摂食・嚥下障害の約50%にむせない場合があり、余計に肺炎になってしまう可能性が高まります。
この裁判では、パーキンソン病や高血圧(脳梗塞や脳出血を起こしやすかった?)の持病があったとのことで、誤嚥を起こしやすかったと考えられますが、今回の結果としては、男性側に支払うべきであると結論づけられたようです。
誤嚥は、高齢者や脳卒中患者にとって、非常に大きな問題となってきます。介護現場で、こうした誤嚥の問題に関する認識が広まれば、と思われます。
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中尾彬さんが肺炎で入院
本当は怖い口臭〜誤嚥性肺炎〜
その上で、共済側の上告を棄却。約2200万円の補償費の支払いを命じた2審・東京高裁判決が確定した。一般の保険会社でも、傷害保険や生命保険災害割増特約で共済と同様の規約を定めており、今回の判決は同種の保険金支払いの実務にも影響を与えそうだ。
2審判決などによると、男性=当時(82)=は平成17年2月3日、自宅で昼食時にもちをのどに詰まらせ、低酸素脳症で植物状態になった。男性は「中小企業災害補償共済福祉財団」(東京)に加入しており、規約に基づき、「急激かつ偶然の外来の事故で身体に傷害を受けた災害」で身体の一部に永久の障害が残った場合、補償費を受け取る権利があるため、親族が支払いを請求。だが、共済側は男性が高齢でパーキンソン病や高血圧といった治療で多数の薬を服用していることから、「食事中に突然意識障害に陥ったか、食べ物を飲み込む機能障害でもちをのどに詰まらせた」と内部的原因を理由に補償費の支払いを拒否した。
判決理由で古田裁判長は「請求者は傷害が疾病を原因として生じたものでないことまで立証すべき責任を負うものではない」と判示。その上で「事故が身体の外部からの作用によるもので、事故と傷害との間に因果関係があることは明らか」と指摘し、2審判決を支持した。
(傷害保険、持病で補償拒否 共済側に立証責任)
嚥下障害とは、老化や疾病(脳卒中が最多といわれています)などの原因により、飲食物の咀嚼や飲み込みが困難になる障害をいいます。
通常、咀嚼した食物は舌を使って咽頭へ送られ、嚥下されます。その時、軟口蓋が挙上することで、口腔と鼻腔が遮断されます。また、喉頭蓋で気管への道が蓋をされ、嚥下の瞬間だけ開く食道へと送り込みます。これらの複雑な運動に関わる神経や筋肉に何らかの障害が生じた場合、嚥下障害が起こります。
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肺炎は、とくに口の中の清潔度や誤嚥の量、誤嚥物の酸性度などが関連するといわれています。また、誤嚥をした場合は通常、むせますが、摂食・嚥下障害の約50%にむせない場合があり、余計に肺炎になってしまう可能性が高まります。
この裁判では、パーキンソン病や高血圧(脳梗塞や脳出血を起こしやすかった?)の持病があったとのことで、誤嚥を起こしやすかったと考えられますが、今回の結果としては、男性側に支払うべきであると結論づけられたようです。
誤嚥は、高齢者や脳卒中患者にとって、非常に大きな問題となってきます。介護現場で、こうした誤嚥の問題に関する認識が広まれば、と思われます。
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