「平均血圧」とは、心臓から遠い場所にある細い血管(末梢血管)での血液の圧力を示すもの。「動脈硬化は、最初に細い血管に現われ、次第に太い血管へと進む」(高沢教授)ため、「平均血圧」の上昇は、動脈硬化の始まりを知る指針になる。正確な「平均血圧」は、特別な医療機器を使わなければ測定できないが、単純化した計算式でおおよその値を求めることができる。
計算式は、「下の血圧+(上の血圧−下の血圧)÷3」。例えば、上の血圧が120mmHgで下の血圧が70mmHgの場合、「70+(120−70)÷3」となり、「平均血圧」は約87。上の血圧が145mmHg、下の血圧が80mmHgの場合は、「80+(145−80)÷3」で約102。
「平均血圧は90未満が理想。90以上は、末梢部分の細い血管に動脈硬化の傾向がある」(同教授)。一見、問題はなさそうな「145/80」の血圧でも、「平均血圧」を知れば、心臓から遠い血管での動脈硬化の始まりの有無がわかるのだ。
(下げよう!悪玉血圧 動脈硬化を防ぐ新常識)
動脈硬化とは、動脈が肥厚し硬化した状態です。これによって引き起こされる様々な病態を動脈硬化症といいます。
動脈硬化の種類にはアテローム性粥状動脈硬化、細動脈硬化、中膜硬化などのタイプがあります。多くは、アテローム性動脈硬化を指します。アテローム動脈硬化症は、高脂血症や糖尿病、高血圧、喫煙などの危険因子により生じると考えられ、最終的には動脈の血流が遮断されて、酸素や栄養が重要組織に到達できなくなる結果、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となってしまいます。
メタボリックシンドロームは、この動脈硬化の発生・進展防止が治療目標となります。そのための脂肪蓄積の進行防止・解消を目的に食事療法による摂取カロリーの適正化と、脂肪燃焼を促す目的での運動療法が基本となります。
アテローム性動脈硬化では、血管の内腔にプラークが形成され、血液を流れにくくしてしまったり、突然プラークが破れて血管内で血液が固まり(血栓)、動脈の内腔(血液の流れるところ)を塞いだりしてしまいます。結果、心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞が起こしてしまいます。
また、動脈硬化は老化や運動不足などで進んでいってしまいます。簡単な式で平均血圧を求めることが、生活を改めようという契機になれば、と思われます。
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