厚生労働省は、眠った後に本人の記憶がないまま起き出し、さまざまな行為をする夢遊病のような副作用を起こす恐れがあるとして、国内で販売されている19品目の睡眠薬について、添付文書の警告欄に「夢遊症状」を加える改訂などを製薬会社に指示した。

対象は、マイスリー(一般名・酒石酸ゾルピデム)、ハルシオン(同トリアゾラム)、アモバン(同ゾピクロン)など。

米食品医薬品局(FDA)が3月、眠っている間に起き出して車を運転したり、電話をかけたりするなどの副作用が起きる恐れがあるとして、睡眠薬13品目の注意書きの内容を強めるよう指示したことを受けた措置。

同省は、マイスリーとアモバンについては「服用後にもうろう状態や夢遊症状などが現れることがある」などとする警告欄を新たに設けることを、ハルシオンについては警告欄に夢遊症状を加えることをそれぞれ求めた。
(睡眠薬で「夢遊」症状 厚労省、警告欄改訂を指示)


睡眠導入剤は、不眠状態や睡眠が必要な状態に用いられる薬物の総称です。一般的には、睡眠薬とも呼ばれます。主な作用としては、睡眠時の緊張や不安を取り除き、寝付きを良くする、というものです。

睡眠導入剤は化学構造により、ベンゾジアゼピン系、チエノジアゼピン系、バルビツール酸系、シクロピロロン系や抗ヒスタミン薬などに分類されます。また、作用時間による分類としては、超短時間作用型、短時間作用型、中時間作用型、長時間作用型などがあります。

以前は、バルビツール酸系の薬剤がよく処方されていましたが、依存傾向が強く、耐性が生じやすい(段々と効かなくなってくる)ため、現在では、より安全とされるベンゾジアゼピン系の薬剤が多く処方されています。

服用する上で、注意点としては、お酒などと一緒に飲まない、できるだけお酒を飲んだら服用しない、ということです。FDAの報告の中にも、飲酒前後に薬を服用すると、異常行動(いわゆる夢遊病)が発生する確率が高くなるとのことです。

FDAによると、異常行動は以下のようなものが報告としてあげられたそうです。
1)睡眠中に起きあがって車を運転する
2)夜中に過食する
3)電話をかける
4)インターネットで買い物する
などの報告があった、とのこと。いずれも、本人には全く記憶がなかったそうです。

また、他に注意していただきたいのは、自己判断で睡眠導入剤を飲んでしまったり、止めてしまったり、量の増減をしたりなさらないでいただきたい、ということです。突然の服薬中断では、数日間にわたり元来よりひどい不眠(反跳性不眠といいます)が生じる可能性があります。

どんな薬にも副作用はあるかと思いますが、睡眠導入剤は、今や手軽に薬局で買えてしまうような(ドリエルがCMで有名ですね)ものです。ご留意下さい。

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