たばこを吸っている男性の40歳時点の平均余命は、吸わない男性より3.5年短い−。厚生労働省研究班(主任研究者・上島弘嗣滋賀医大教授)が24日までに、30歳以上の男女約1万人を対象とした追跡調査を基に、こんな推計をまとめた。
1日2箱以上吸う男性の余命は、1箱未満よりも0.9年短く、ヘビースモーカーほど短命の傾向がうかがえるという。喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは広く知られているが、たばこの影響を余命で示したのは国内初の試みという。
推計の根拠としたのは、昭和55年に全国300カ所の保健所で健康診断を受けた30歳以上の男女のうち、計9625人(男性4237人、女性5388人)に対する追跡調査。このうち平成11年までに死亡した約2000人の喫煙の有無や、年齢別の死亡率などを基に全調査対象者の平均余命をはじき出した。
それによると、健診時にたばこを吸っていた男性は2666人(喫煙率・約63%)で、40歳の平均余命は38.6年。残る男性のうち、もともと吸っていなかった777人については42.1年で3.5年長かった。
以前は吸っていたが健診時に禁煙していた794人の余命は40.4年。
男性喫煙者のうち1日の本数が「1箱未満」の40歳の平均余命は39.0年、1−2箱は38.8年、2箱以上は38.1年と、本数が多いほど余命が短くなる傾向がうかがえた。
女性の喫煙率は約9%で、喫煙者(476人)の40歳の平均余命は43.4年、非喫煙者(4793人)は45.6年と、2.2年の差があった。
研究班の村上義孝滋賀医大特任講師は「男性の場合、喫煙が平均余命に影響していることは明らかといえる。女性も同様な傾向がみられたが、調査開始時点での喫煙率が低く明言はできない」としている。
(たばこで余命3.5年短縮 男性、40歳時点で)
「たった3.5年しか違わないんならいいや」と思われるかも知れませんが、喫煙の害は、死亡率の上昇だけに留まらず、COPDを始めとする呼吸機能の低下や動脈硬化、心筋梗塞などの循環器疾患との関連性、歯周病となるリスク、最近では喫煙者の方が認知機能低下のペースが速いことが示されています。
また、本人だけの問題だけではなく、受動喫煙も能動喫煙も、量に差はあるものの、同様の成分を吸入する行為であり、喫煙と同様の疾患リスクが増加する可能性があると考えられています。妊娠中に能動喫煙あるいは受動喫煙すると、流産、早産の危険性が上昇し、出生後の乳幼児突然死症候群(SIDS)、中耳炎、呼吸器感染症や行動障害などの罹患率が増加することも明らかとなっています。
さらに、最近では喫煙場所も公共施設では減りつつあります。場所を探してイライラしたり、煙草の値上がりに恐々としていらっしゃるかたもいらしゃるのではないでしょうか。今からでも禁煙するメリットは、多くあると思われます。
日本での成人の喫煙率は1966年頃(男性83.7%、女性18.0%)をピークに、2006年では全体で26.3%(男性41.3%、女性12.4%)と減少傾向にあるといわれています。特に、60歳以上の男性の喫煙率は、ピーク時の約5分の2に低下しているといわれていますが、先進国と比較すると、日本の全人口の喫煙率はまだ高く、特に男性に関してはトップレベルであるといわれています。
是非とも、今後は禁煙をする方々が増えてくることが望まれます。
ですが、なかなか禁煙しようとしても、タバコに対する「心理的依存」、イライラなどの離脱症状(禁断症状)を起こす「ニコチン依存(身体的依存)」は、独りでは難しいものです。ぜひとも、「禁煙しよう」と決めたら、禁煙指導を受けられる病院(禁煙外来)を受診することをお勧めします。
禁煙外来では、全5回の診療を受けるのが一般的です。2006年4月から、一部の施設で禁煙治療が保険適用となりました。
初診では、治療法の説明の他、ニコチン依存度、喫煙の状況、禁煙の関心度などがチェックされます。また、呼気中の一酸化炭素濃度の測定、禁煙開始日の決定と「禁煙誓約書」へのサイン、次回診察日の決定を行い、治療のための禁煙補助薬の処方を受けます。
2回目および3回目では、2週間ごとに再診し、喫煙状況の問診を受けます。呼気中の一酸化炭素の測定を行い、禁煙補助薬の追加処方を受けます。以後は4週ごとに再診を受けます。
特に禁煙補助薬はニコチンの離脱症状(苦痛、不安、ふるえ、眠気)を軽減することができ、苦痛に満ちた禁煙から解放されます。また、カウンセリングにより、モチベーションを維持することが重要となります。
是非とも、禁煙にチャレンジして成功なさってください。
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1日2箱以上吸う男性の余命は、1箱未満よりも0.9年短く、ヘビースモーカーほど短命の傾向がうかがえるという。喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは広く知られているが、たばこの影響を余命で示したのは国内初の試みという。
推計の根拠としたのは、昭和55年に全国300カ所の保健所で健康診断を受けた30歳以上の男女のうち、計9625人(男性4237人、女性5388人)に対する追跡調査。このうち平成11年までに死亡した約2000人の喫煙の有無や、年齢別の死亡率などを基に全調査対象者の平均余命をはじき出した。
それによると、健診時にたばこを吸っていた男性は2666人(喫煙率・約63%)で、40歳の平均余命は38.6年。残る男性のうち、もともと吸っていなかった777人については42.1年で3.5年長かった。
以前は吸っていたが健診時に禁煙していた794人の余命は40.4年。
男性喫煙者のうち1日の本数が「1箱未満」の40歳の平均余命は39.0年、1−2箱は38.8年、2箱以上は38.1年と、本数が多いほど余命が短くなる傾向がうかがえた。
女性の喫煙率は約9%で、喫煙者(476人)の40歳の平均余命は43.4年、非喫煙者(4793人)は45.6年と、2.2年の差があった。
研究班の村上義孝滋賀医大特任講師は「男性の場合、喫煙が平均余命に影響していることは明らかといえる。女性も同様な傾向がみられたが、調査開始時点での喫煙率が低く明言はできない」としている。
(たばこで余命3.5年短縮 男性、40歳時点で)
「たった3.5年しか違わないんならいいや」と思われるかも知れませんが、喫煙の害は、死亡率の上昇だけに留まらず、COPDを始めとする呼吸機能の低下や動脈硬化、心筋梗塞などの循環器疾患との関連性、歯周病となるリスク、最近では喫煙者の方が認知機能低下のペースが速いことが示されています。
また、本人だけの問題だけではなく、受動喫煙も能動喫煙も、量に差はあるものの、同様の成分を吸入する行為であり、喫煙と同様の疾患リスクが増加する可能性があると考えられています。妊娠中に能動喫煙あるいは受動喫煙すると、流産、早産の危険性が上昇し、出生後の乳幼児突然死症候群(SIDS)、中耳炎、呼吸器感染症や行動障害などの罹患率が増加することも明らかとなっています。
さらに、最近では喫煙場所も公共施設では減りつつあります。場所を探してイライラしたり、煙草の値上がりに恐々としていらっしゃるかたもいらしゃるのではないでしょうか。今からでも禁煙するメリットは、多くあると思われます。
日本での成人の喫煙率は1966年頃(男性83.7%、女性18.0%)をピークに、2006年では全体で26.3%(男性41.3%、女性12.4%)と減少傾向にあるといわれています。特に、60歳以上の男性の喫煙率は、ピーク時の約5分の2に低下しているといわれていますが、先進国と比較すると、日本の全人口の喫煙率はまだ高く、特に男性に関してはトップレベルであるといわれています。
是非とも、今後は禁煙をする方々が増えてくることが望まれます。
ですが、なかなか禁煙しようとしても、タバコに対する「心理的依存」、イライラなどの離脱症状(禁断症状)を起こす「ニコチン依存(身体的依存)」は、独りでは難しいものです。ぜひとも、「禁煙しよう」と決めたら、禁煙指導を受けられる病院(禁煙外来)を受診することをお勧めします。
禁煙外来では、全5回の診療を受けるのが一般的です。2006年4月から、一部の施設で禁煙治療が保険適用となりました。
初診では、治療法の説明の他、ニコチン依存度、喫煙の状況、禁煙の関心度などがチェックされます。また、呼気中の一酸化炭素濃度の測定、禁煙開始日の決定と「禁煙誓約書」へのサイン、次回診察日の決定を行い、治療のための禁煙補助薬の処方を受けます。
2回目および3回目では、2週間ごとに再診し、喫煙状況の問診を受けます。呼気中の一酸化炭素の測定を行い、禁煙補助薬の追加処方を受けます。以後は4週ごとに再診を受けます。
特に禁煙補助薬はニコチンの離脱症状(苦痛、不安、ふるえ、眠気)を軽減することができ、苦痛に満ちた禁煙から解放されます。また、カウンセリングにより、モチベーションを維持することが重要となります。
是非とも、禁煙にチャレンジして成功なさってください。
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