重いアトピー性皮膚炎と同時に肺炎などの感染症も繰り返し発症する先天性の難病「高IgE症候群」の原因とみられる遺伝子を、東京医科歯科大などの国際研究グループが突き止めた。遺伝子治療や早期診断に期待がかかる成果で、5日付の英科学誌「ネイチャー」(電子版)に発表した。
 
「高IgE症候群」は、過剰な免疫反応であるアレルギー症状と、逆に免疫力の低下で起こる感染症の両方を発症する先天性免疫不全症。約40年前に発見された。新生児10万〜100万人に1人の割合で生まれるが、これまで原因は分かっておらず、有効な治療法がなかった。
 
東京医科歯科大の烏山一教授らは、北海道大など国内4大学とトルコ、セルビア・モンテネグロの小児科グループなどと共同研究。その結果、細胞内のさまざまな情報伝達に関与する「STAT3」という遺伝子に異常があることが判明した。患者の両親やきょうだいには同じ異常が見つからないことから、遺伝にはよらない先天的な突然変異と分かった。

この原因遺伝子の働きを詳しく調べることで、高IgE症候群以外の重症アトピー性皮膚炎の新たな治療法開発につながる可能性もあるという。
(重症アトピーを伴う難病 原因遺伝子を発見)


高IgE症候群とは、乳児期早期から皮膚と肺の黄色ブドウ球菌による感染をくり返し、高IgE血症を示す症候群です。免疫不全症(繰り返す肺炎や皮膚膿瘍)でありながら重症のアトピー症状(アトピー性皮膚炎、血中IgE高値)を示す大変ユニークな原発性免疫不全症です。

臨床症状から、1型と2型に分けられます。
・1型
免疫系の異常に加えて骨・歯・軟組織の異常をも伴う「多臓器疾患」
弧発型と常染色体優性遺伝型が多い。
・2型
異常は免疫系に限局
常染色体劣性遺伝型を示す。

STAT3遺伝子が関連しているのは、1型高IgE症候群の方の責任遺伝子であると考えられています。また、STAT3変異は弧発型高IgE症候群患者の両親や兄弟には存在しないことから、先天性でありながら遺伝性のものではなく突然変異によるものであると思われます。一方、2型高IgE症候群の責任遺伝子としては、Tyk2をコードする遺伝子であると考えられています。

STAT3は30近くのサイトカイン、増殖因子、ホルモンのシグナル伝達に関与しているため、この遺伝子の異常により、病態を説明できるのではないかと考えられます。

疾患自体は40年以上前にすでに報告されていましたが、その原因や病態は不明のままでした。今後は、病態のさらなる解明や、治療法の開発が進んでいくことが期待されます。

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