ザ!世界仰天ニュース」で取り上げられていた内容です。

2006年、イギリス・ノッティンガム。この街に仕事熱心なある女性がいた。ジョアン・モーガン31歳。30歳の時にはイギリスの優れた女性の起業家に贈られる最優秀賞を獲得し、31歳では社長となり、会社を引っ張っていくまでになった。彼女は公私共に計画的で、仕事に理解あるマーティンとの結婚を32歳で、子作りは33歳になってからと決めていた。しかし彼女の母親は、忙しく働くジョアンを心配し、子作りは早いほうがいいとしつこくジョアンに話していた。

そんなある日、ある新聞記事がジョアンの目に留まる。そしてこの記事がきっかけで彼女は人生計画を変更することを決意する。2007年5月、計画通り結婚した二人の間にはなんと4か月の息子フェリックスが誕生していた。なぜ計画的な彼女が結婚より前に出産を選択していたのか、そのきっかけとなった新聞記事には自分の卵巣年齢を測定するという検査キットの情報がかかれていた。

これは卵巣年齢が分かるというもので血液中の「抗ミューラー管ホルモン」を測定する。卵子の成長過程で分泌されるこのホルモンは閉経が近付くにつれ、分泌が減少。このホルモンの数値をはかる事によって、出産のチャンスが残されているのを知る助けとなるのだ。女性の卵子は年をとるにつれ卵子自体の質が低下し、卵子の基となる細胞も減少する。そのため高齢になればなるほど妊娠しにくくなる。この検査でまだ出産を急がなくてもいいことがわかれば母親を説得できると考え検査を受けたジョアンだったが、なんとその結果、彼女の卵巣年齢は37歳。実年齢よりも6歳も上のレベルだった。

医師に相談するもその結果は確かなものだった。計画通り2年先を考えれば子供が産めない可能性も考え、彼女は予定を変更、すぐに子作りを始め、そして今年の1月、結婚式の前に元気な赤ちゃんを出産。ジョアンは検査を受けたことにより、出産を先送りにせず子供を作れたことを幸せに思うと話した。


抗ミューラー管ホルモン(AMH:anti-müllerian hormone)は、発育卵胞から分泌されるといわれていて(ちなみに、男児の胎児精巣からも分泌されるホルモンで、この場合はミューラー管という女性の生殖器になる部分の発生を抑える役割をもちます)、若い人ほど数値が高いとされています。

「年齢や卵胞発育数、採卵数」と「抗ミューラー管ホルモン(AMH)」とは、逆相関しているとされています。つまり、数値が低い方ほど採卵数が少なくなる傾向があります。

こうした性質から、抗ミューラー管ホルモン(AMH)を調べることで卵巣の機能をみることができるのではないか、と考えられているわけです。

卵胞刺激ホルモンであるFSHも、こうした機能をみるのに使用されていますが、周期による変動が激しい(卵胞期、排卵期、黄体期で大きく異なる)のに対して、抗ミューラー管ホルモン(AMH)は、周期による変化はあまりなく卵巣機能の反映という意味で優れていると考えられています。

実年齢とは必ずしもあっておらず、「卵巣年齢」が高い人は、妊娠を先延ばしにするとさらに妊娠する確率が低くなる、と予想することができます。初産年齢が高くなっている現在では、有用な検査であると言えるのではないでしょうか。

この検査は、保険適応外であり、実費で行わなければならないのが難点ですが、2万円前後で行っているクリニックが、国内にもあるそうです。検査自体は、採血のみでできるそうなので、お手軽ではないでしょうか。検査に適しているのは月経開始後3〜5日目とのことです。予約が必要な所もあるそうなので、その場合はお問い合わせ下さい。

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