京都大学医学部付属病院(京都市)が今年3月から7月までに患者63人に行った手術で、滅菌されていないガーゼが使われ、うち2人の患者の手術部分にうみがたまるなどの症状が出ていたことが9日、わかった。病院側は文書や口頭で患者に謝罪、2人の症状は回復しているという。

同病院によると、未滅菌ガーゼを使ったのは歯科口腔外科と耳鼻咽喉科、形成外科の3科で、手術の際に止血のために使われた。ガーゼは長さ30センチ、幅3センチと細長く、耳や鼻、口などに使われる特殊なタイプという。

京大病院では通常、滅菌されたガーゼを使用しているが、誤って未滅菌ガーゼを発注。納入時や手術前の点検でも、未滅菌であることに気が付かなかったという。

うみが出た患者は歯科口腔外科で手術を受けた20歳代の女性で、耳鼻咽喉科で手術を受けた50歳代の男性は鼻が赤くなったという。

同病院では「ガーゼはすべて滅菌と思いこんでいたので、確認も十分でなかった。今後はチェック態勢を強化したい」としている。
(未滅菌ガーゼ使用でうみなどの症状 京大病院、63人に)


消毒とは、病原微生物を殺すこと(殺菌など)、または病原微生物の能力を減退させ病原性をなくすことです。特に滅菌とは、原性の有無を問わずすべての菌(細菌だけでなく、ウィルスやプリオンを含めたすべての生命体)を死滅させるか、除去することです。従って、滅菌は手術用の器具などに対して行うもので、人体に対して行うことは出来ません。

使用された器具・器材には、汚染物(血液、粘液、分泌液、組織片、排泄物、薬剤、無機物など)が付着しており、これらの「汚れ」の中に多数の病原微生物(細菌、ウイルス)が潜んでいます。滅菌を行う前に完全に除去しなければ、二次感染を起こしてしまう可能性があります。

滅菌法には、乾燥滅菌(ガラス器具)や高圧蒸気滅菌(手術器具、手術衣)、EOG(ethylene oxide gas)滅菌(ゴム、プラスチック、手術器具)、放射線滅菌(ディスポ−ザブル製品)、煮沸消毒(手術機械など簡単なものに)、ホルマリンガス消毒(光学機器、麻酔器、人工呼吸器)などがあります。特に、非耐熱性の物品の滅菌には、酸化エチレンガス滅菌、過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法、または化学滅菌剤を用います。

いずれにせよ、術中・術後は細菌感染に非常に気を付けなければなりません。今回のことを教訓に、再発防止策の徹底が望まれます。

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