インドネシア保健省は13日、国際的観光地バリ島で鳥インフルエンザ感染により29歳の女性の死亡を確認したと発表した。同国では82人目の感染死者となるがバリ島では初めて。ほかにも疑いのある患者が出ている。バリ島で感染が拡大すれば、同国の観光業にも深刻な影響を及ぼしそうだ。

女性は12日に死亡したが、出身の集落では数日前から鶏が大量死しており、同じ集落の少女も鳥インフルエンザの疑いで入院している。バリ島では夏休みのため、日本人など外国人観光客が多く滞在している。このためバリ州政府は感染した鳥の処分など感染防止対策を強化する方針だ。
(鳥インフル、バリ島で初の感染死者)


トリインフルエンザとは、A型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる鳥類の感染症です。中でも、ニワトリなどの家禽類に感染して、宿主を死に至らしめる高病原性トリインフルエンザが問題となっています。

ヒトのインフルエンザの原因になるウイルス(ヒトインフルエンザウイルス)と、トリインフルエンザの原因になるウイルス(トリインフルエンザウイルス)では、感染対象となる動物(宿主)が異なるため、一般的にはトリインフルエンザウイルスがヒトに感染する能力は低く、また感染してもヒトからヒトへの伝染は起こりにくいと考えられています。ですが、大量のウイルスとの接触や、宿主の体質などによってヒトに感染するケースも報告されています。

トリ用ワクチンは開発されていますが、感染予防には完全ではなく、ニワトリの感染を完全回避はできず、感染しても発症を低減できるのみとされています。そのため、ワクチンによる完全な予防は難しいと考えられます。

今年も、宮崎県や岡山県でH5N1型高病原性トリインフルエンザウイルスが多数の鶏に感染し、殺処分されたことがありました。バリでは、外国人観光客が多く滞在しているため、多国に渡って感染が波及してしまうことも考えられます。早期の対策が求められます。

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