若いころやせていたのに、中年以降に10キロ以上太った男性は、体重が安定していた人に比べ、心筋梗塞など虚血性心疾患になる危険度が2倍高いとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が22日発表した。

アジア人でこうした傾向が明らかになったのは初めて。研究班の磯博康大阪大教授(公衆衛生学)は「年齢が進んで運動をやめたり、基礎代謝が落ちたりしても若いころと同じ食習慣を続けると、心臓への負担が増える」と注意を促している。

研究班は全国8県で40−69歳の男女約9万6000人を平成2年から最長で12年追跡。この間、男性の399人が虚血性心疾患になった。

肥満度を表す国際的指標で、体重(キロ)を身長(メートル)で2度割って算出する体格指数BMIとの関係をまず調べたところ、BMI30以上(肥満)の男性は、標準的な体格(23以上25未満)の男性に比べ心疾患発症の危険度が1.8倍で、肥満と心疾患の関係がはっきりした。女性は発症者が少なく、関連は不明だった。

そこで研究班は次に、男性の約半数に当たる約2万3000人を対象に、体重の増減との関係に注目して分析。すると、20歳時点でBMI21.7未満とやせ形だった人で、調査時までに10キロ以上体重が増えた人は、増減が5キロ以内だった人と比べ、危険度が約2倍になることが分かった。
(10キロ超の体重増にご用心 心疾患のリスク高まる)


標準体形の男性が20キロ太ると、糖尿病や高血圧になりやすくなり、年間医療費が2.5−1.3倍に跳ね上がるとの推計を京都大経済研究所の古川雅一研究員(医療経済学)らが先月にまとめたと発表されました。医療経済の面からみても、体重増加は健康問題と関連していると言えそうです。

体重だけではなく、最近はメタボリックシンドロームが健康問題としてトピックにあげられることが多いのではないでしょうか。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が一因となり高脂血や高血糖などを併発した状態です。放置すると心筋梗塞や動脈硬化、糖尿病になりやすいと考えられているます。

メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)の人はそうでない人に比べて、心筋梗塞など心臓血管系の病気になる危険性が男性で約2.5倍、女性で約1.8倍になるとされています。さらに、上記の発表を考えれば、体重が最近増加した人は、よりリスクがあがっていると考えられます。

"年齢が進んで運動をやめたり、基礎代謝が落ちたりしても若いころと同じ食習慣を続けると、心臓への負担が増える"ということからも、運動を続けたり、年齢に見合った食生活の再考などが重要となってきそうです。

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