奈良県内では昨年8月、大淀町立大淀病院で分娩中に意識不明となった妊婦=当時(32)=が次々と転院を断られ、死亡する問題が起き、これをきっかけに産科医療体制の脆弱さが指摘された。

大淀病院は今年4月から、産科を休診。同県の中南部地域では、五條市の県立五條病院が昨年4月に産科を閉鎖し、大和高田市の市立病院でも同年6月、妊婦の受け入れを周辺5市町に限定するなど、現状では大規模病院の産科がゼロという異常事態になっている。

同県内では、重症妊婦を対象にした治療施設「母体・胎児集中治療管理室」(MFICU)の整備の遅れも指摘され、厚生労働省は同県を含む全国8県に対し、来年3月末までに、病床数などの基準を満たす形で整備を指示していた。

しかし奈良県では、現在ある同室をそのまま増強整備した場合、無停電用の電源装置が容量オーバーになる問題点などが新たに浮上。

このため来年3月末までの整備を断念し、少なくとも同年5月にずれ込む見通しになるなど、同県内の妊婦を取り巻く医療整備は遅々として進んでいない。
(産科医療の遅れ、奈良でまた)


29日に奈良県の女性が午前2時45分ごろ、出血を伴う腹痛を訴え119番通報。産婦人科を探したが、奈良県では受け入れ先が見つからず、12カ所目に打診した高槻市の病院へ搬送する予定だったが、病院へ着いた頃には流産してしまっていたというニュースが流れました。

去年8月にも同様なケースが起こっていましたが、まだ十分な対策は難しいようです。こうした産科救急を取り扱うことのできる病院は、今後、さらに減っていってしまうと予想されます(中核病院の2割が「母体救急態勢が不安」−厚労省研究班アンケート)。そうすると、さらにこうした問題が次々に出てくると考えられます。

医師の偏在による不足が問題視され、政府レベルでの試案が提示されていますが、それ以前に科ごとの偏在も問題となっています。少子化を考える上で、こうした母体救急態勢の拡充は避けて通れません。まず第一に考えるべきでしょう。

奈良県を始めとして、隣の大阪府でも同様な施設の機能・数が不足している状態だとのことです。長期の医師不足是正ももちろん大事ですが、まずは産婦人科医療の明日をどうするのか、といったことのほうがプライオリティは高いと思われます。

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