テレビを見ていた孫の9歳の少女に、祖母(47)がジンを二杯飲ませるという事件が発生した。ブルーミントン警察のジム・ライアン署長によると、少女はジンを飲まされた後、吐き気を催したり、どこかに頭をぶつけたりしたことを覚えているという。先月31日の午後1時頃のことで、当時は母親が12時間シフトで仕事に出ており、自宅に不在だった。

祖母は子守を頼まれたが、夜に遊びに行きたかったため、孫の意識を失わせようとお酒を飲ませたのでは、と警察は考えている。「子供を一人にするといろんな事が起こります。大事に至る場合もある。吐いたものが喉に詰まり、少女が窒息死してしまう可能性もあったのです。とんでもないケースですよ」とライアン署長はコメント。

「お酒を飲まされた子供がいる」との匿名の通報を受けた警察は、午後10時ころに少女宅に到着。携帯型のアルコール検出器で検査したところ、ジンを飲まされてから8時間以上経過しているにもかかわらず、アルコールレベルは0.42%という数値だったという。

祖母は拘留されたが、6000ドルの保釈金を支払ったため釈放された。少女は母親に保護されている。
(9歳の孫にジンを2杯飲ませた祖母)


高校時代の世界史の授業で、「(産業革命後)イギリスの炭坑では、労働者たちが非常に過酷な労働環境に置かれていた。子守をすることも満足にできず、起きてしまわぬよう、ミルクに酒を混ぜて飲ませた」というエピソードを聞いたことを思い出しました。その後の子供の発育において(特に脳神経系に)、深刻なダメージを負わせてしまったことは容易に想像できます。

そもそも、未成年者の飲酒が法律で禁止されている(国によって飲酒可能年齢は異なりますが)理由として、健全な成長・発達を阻害する恐れがあるため、ということが挙げられています。現に、アルコールは脳に対して多くの影響を及ぼします。

まず、アルコールは「前頭前野」や「扁桃体」の脳細胞にダメージを与えます。前頭前野は脳の司令塔とも呼ばれており、理性的な判断をする中枢です。また、扁桃体は、感情の中心であると言われています。一説によると、未成年者は物事の判断を扁桃体に依存する部分が大きいそうです(成人になってくると、中心が前頭前野に移ってくる)。こうした部位にダメージが及ぶことで、人格形成に大きな影を落としてしまう可能性があります。

他にも、海馬とよばれる記憶を司る部分にもダメージを及ぼし、記憶力低下が懸念されます。海馬は長期大量飲酒で著明に萎縮することが知られており、深刻な影響が考えられます。

また、下垂体にもダメージを与え、性ホルモン分泌に関与するホルモン(LH、FSH)に対しても影響を及ぼす可能性があります。結果、生殖機能が傷害される恐れもあります。

また、子供は急性アルコール中毒になりやすいと考えられます(当然、肝機能は成人に比べて劣るため)。結果、上記のような嘔吐物により窒息が懸念されます。法律を遵守する、という意味もありますが、医学的にも未成年者のうちは(成人もほどほどに)、飲酒を控えていた方が良さそうですよ。

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