東京都八王子市の特別養護老人ホームで6月、食べた物を戻し、病院に搬送された入所者の女性(61)の腸内からステンレス製のスプーン(長さ約15センチ)が見つかっていたことが分かった。スプーンは摘出されたが、女性は病状が悪化して1週間後に死亡した。死因は不明。警視庁八王子署は女性がスプーンをのみ込んだ経緯などについて、施設関係者らから事情を聴いている。

関係者によると、女性は6月28日に施設内で何度も吐いたため、翌29日、東京都町田市の病院に運ばれた。レントゲン検査で大腸にスプーンが見つかり、30日に摘出された。大腸には多数の穴が開いていたといい、スプーンは一部にさびが付着していた。女性は体調が回復せず、7月7日に死亡。同日、病院側から町田署に「スプーンをのんだ患者が死亡した」と通報があった。同署が翌8日、司法解剖したが、具体的な死因は特定できなかった。

同月28日、遺族から八王子署に「スプーンをのみ込んだ経緯を調べてほしい」との相談があり、改めて同署が捜査。施設関係者数人から任意で事情を聴いたが、スプーンが体内に入った経緯は分かっていない。同署はスプーンの酸化の度合いなどから、かなり以前に体内に入ったとみている。

施設側は毎日新聞の取材に「全職員から話を聞いたが、誰もスプーンをのみ込んだ事実は知らなかった。事件か事故かは分からない」と話している。女性は02年に脳出血して以来、脳脊髄液が頭の内側で過剰にたまり、記憶障害などを起こす「水頭症」の症状があったという。車いすの生活で介護が必要な場合もあったが、食事は自分で取ることができた。
(入所女性の腸内からスプーン…1週間後に死亡)


食物以外を誤って飲んでしまうことを、誤飲といいます。誤飲してしまうのは、子供が多く、タバコや硬貨、次いで医薬品、化粧品、洗剤、文具などを飲んでしまっているそうです。有毒な物質(防虫剤や洗剤など)を飲むなどして、約12%に嘔吐などの中毒症状または有害な兆候が見られています。

また、排泄されずに食道や腸管に残ってしまうのを異物といいます。食道の狭窄部に挟まってしまうような場合、全身麻酔下に内視鏡を用いて摘出する必要があります。また、食道異物は食道穿孔の後、縦隔炎をおこし敗血症などの重篤な病気の原因になるため、早急に摘出する必要があります。

今回のケースでは、大腸まで到達し、多くの裂孔が存在していたとのことです。15cmというかなりの大きさのスプーンを飲んでおり、さらにはいつごろ飲んでしまったのか(既にサビがみられたということで)不明など、不可解な点が多いです。原因を究明し、防止策をとらないと、再発してしまうおそれもあるかもしれません。

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