最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で取り上げられていた内容です。

10年前の離婚を機に小さな花屋を開き、女手一つで子供を育ててきたY・Y(49)さん。店の仕事や家事に追われ、身体を休める暇のない毎日を送っていました。そんなある日、洗い物をしていると、手の爪の周囲がほんのり赤みがかっていることに気付きました。その後、いつもは平気で持ち上げていた鉢植えをなぜか重く感じたY・Yさん。さらに、奇妙な異変が続きました。

症状としては、以下のようなものがありました。
1)爪の周囲が赤い
2)倦怠感
3)肘が帯状に赤くなる
4)朝、体が起こせない
5)足の爪の周囲にも赤み

朝、起きようと思っても体が起こせず、娘に起こしてもらったY・Yさん。
その時、彼女に足の爪周囲まで赤みが及んでいることを指摘され、近所の皮膚科を訪れました。結果、大学病院へ紹介されることになり、精密検査の結果、子宮体癌と診断されました。


「爪の周囲に現れた赤み」や「倦怠感」、「肘にできた赤い帯」は、実は皮膚筋炎による症状でした。

皮膚筋炎とは、免疫機能の異常で起きる膠原病の一種です。体全体の筋肉に炎症が起き、筋力が低下したり、特徴的な皮膚症状であるゴットロン徴候(手背側の手・指の関節表面の皮が剥けた紫紅色の皮疹)やヘリオトロープ疹(眼瞼部の腫れぼったい紫紅色の皮疹)などを伴います。

原因は不明ですが、自己免疫異常やウィルス、薬剤の影響、悪性腫瘍などが関係していると考えられています。また、皮膚筋炎は悪性腫瘍を高率に合併(成人では30〜40%で、子供では稀)することが知られています。部位としては、胃癌、乳癌、肺癌、悪性リンパ腫などです。

Y・Yさんは、子宮体癌を合併していました。ですが、特徴的な症状である、月経以外の不正出血やおりもの、排尿時の痛みなどはありませんでした。というのも、ごく初期の状態で発見されたからです。皮膚筋炎のお陰で、癌を初期で発見できた、ということもできるでしょう。

皮膚筋炎による爪の症状としては、爪周囲が赤くなっていることが挙げられます。ですが、赤くなるのは手荒れなどでもおこります。皮膚筋炎からおこる指の赤みの違いとしては、皮膚筋炎の場合、両手の10本の指はおろか、足の指の周囲まで赤くなります。この点に注意して下さい。

悪性腫瘍を合併しているかも知れない、という点が怖いところです。
皮膚筋炎のお陰で、早期にガンを発見できたY・Yさんは、抗ガン剤と放射線による治療で完治したそうです。同様の症状が出たら、皮膚科へ受診されることが勧められます。

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