
神奈川県警南署によると、男児は肝臓破裂による失血死で、目立った外傷はないという。男性は「トイレに連れて行こうとしたら自分が転んでしまった」と話しており、南署が詳しく事情を聴いている。男児は母(25)と男性、姉、妹の5人暮らし。当時、母親は仕事で外出していた。
(3歳男児が肝臓破裂死 同居男性「転んだ」)
肝臓はその大部分が肋骨弓下にありますが、移動性に乏しく、ダメージに弱い実質性臓器であるため、損傷を受けやすいです。全腹部外傷中の8.7〜9.5%を占め、腹部交通外傷では16〜25%の頻度でみられますが、その他分娩時の新生児損傷、胸壁外心マッサージ、肝穿刺生検、PTCD(経皮経肝胆道ドレナージ)などに合併する医原性のものもあります。
損傷部位は左葉に比べて、5〜6倍以上の頻度で右葉に圧倒的に多いとされています。損傷の種類は、開放性肝損傷(外と交通してしまうような損傷)と肝皮下損傷に大別され、そのほとんどが非開放性損傷(外からは損傷していると分からない状態)です。
肝破裂は、大きな外力が胸腹壁を通じて肝臓に達することにより生じます。原因として多いのは交通事故、転落、衝突などや、蹴られて負傷することもあります。肝傷害では、しばしば受傷後数日を経て出血性ショックが出現してしまうことがあります。肝臓の内圧が上昇して腹痛が著明である点も特徴的です。
治療は、その病態に応じてなされれますが、根本は出血性ショックに対処しながら完全な止血、十分なデブリードマン、適切なドレナージの3点が必要となります。
「トイレに連れて行こうとしたら自分が転んでしまった」というのですが、どのような形で男の子が肝破裂するほどの衝撃を受けたのか、よくわかりません。前のめりになって、子供を下敷きにしてしまったのでしょうか。
腹痛をおこしている点からも、典型的な肝破裂→出血性ショックを起こしてしまったと考えられます。どうしてこのようなことが起こってしまったのか、しっかりとした事実関係の解明が求められます。
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