岐阜県は2日、同県羽島市の民間診療所の70代の医師が結核の発症に気付かず、1月から9月までの間に患者1695人を診察していたと発表した。同県は患者への感染の可能性は低いとしているが、新生児と乳幼児計約100人を含む415人について念のため健康診断を実施するとしている。

同県保健医療課によると、診療所は小児科と内科が併設されており医師は1人。医師は今年1月ごろから、せきが出たり、呼吸時に異音がするようになり、その後症状が悪化して9月に肺結核と診断された。もともとぜんそくの症状があったため気付くのが遅れたという。健康診断は、患者のうち18歳以下の約300人全員と、医師の対面診察を受けた高齢者らを対象に実施する。
 
医師のたんから結核菌が確認されており、たんから患者らに感染する可能性もあるが、すでに診断を実施した医師の家族や看護師はいずれも感染していないという。
同課は「診察時間は短いため患者に感染する可能性は低いと考えられるが、万全を期すために診断を実施する」としている。
(70代医師が結核感染、気付かず1695人診察)


結核は、全世界で毎年約800万人の新しい結核患者が発症し、毎年、約300万人の人が死亡している疾患です。日本では、毎年約3万人の新たな結核患者が発生しているといわれます。他の先進国に比べて、突出した感染率と死亡率を維持したままであることからも、決して「過去の病気」ではありません。

結核は、結核菌を含む飛沫核の吸入により、空気感染を示します。当初は全身倦怠感、食欲不振、体重減少、37℃前後の微熱が長期間にわたって続きます。就寝中に大量の汗をかくなどの症状もあります。咳嗽(痰は伴うことも伴わないこともあり、また血痰を伴うことがある)が疾患の進行にしたがって発症してきます。

「ぜんそくの症状があったため気付くのが遅れた」ということもあったそうですが、他の疾患と紛らわしいこともあり、発見が遅れてしまうことがあります。そのため、感染を広めてしまったり、進行してしまって発見される、といったこともあります。長期間続く、上記のような症状があったら、是非とも結核を疑い、病院へ行かれることが望まれます。

治療法としては、現在ではイソニアジド (INH)、リファンピシン (RFP)、ピラジナミド (PZA)、エタンブトール (EB)(またはストレプトマイシン (SM))の4剤併用療法を行うべきであると考えられています。一度発症した場合は6〜9ヶ月の投薬療法が一般的です。治療を正確に完了した場合、再発率は5%未満でが、治療中断により結核菌に耐性ができ、集団感染することが問題となっています。

しっかりとした早期発見、治療が必要です。是非ともお気をつけ下さい。

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