ニカラグアで11カ月前に中絶が全面禁止となったのを受け、少なくとも80人の女性が死亡していることが分かった。米国に拠点を置く人権団体「ヒューマンライツ・ウォッチ」が2日明らかにした。

同団体によると、ニカラグアではいかなる中絶も禁じられているため、中絶で助かるような危険な妊娠をしている女性も死亡しているという。

同国の議員らは、昨年11月5日に行われた大統領選挙の1週間前に、性的暴行による被害や出産による死の危険がある妊娠を含む中絶禁止法の延長を決定。これを受け、女性の人権擁護団体や医師らが怒りの声を挙げていた。

同法律は、保守派の前政権や同国で勢力のあるローマカトリック教会が推し進めたもので、それによると、中絶した女性や中絶を手伝った医師に最低3年の禁固刑が科せられる可能性があるという。
(ニカラグアの中絶禁止法で女性が多数死亡)


妊娠中絶とは、出産を待たず妊婦の妊娠が終結することを言います。広義では流産、死産も含んだ概念で、一般的に中絶と言うと人工妊娠中絶のことを指すことが多いと思われます。

人工妊娠中絶とは、人工的な手段(手術または薬品)を用いて意図的に妊娠を中絶させることを指します。刑法では、特に堕胎と言います。自分や他人の中絶を行った者は、刑法の第二十九章(堕胎の罪)にある、いずれかの条の罪を犯した者として訴追され、懲役刑に処せられる可能性があります。

しかし、母体保護法にて「母体の健康を著しく害するおそれのある」場合等に、特別な医師(指定医師)が本人等の同意を得た上で「中絶を行うことができる」と規定されており、この規定に則った中絶は、刑法の正当行為規定の適用をうけて、罰されることを免れます(ただ、法的にグレーな中絶も行われているようですが)。

適応となるのは、だいたい妊娠22週未満となっています。
妊娠11〜12週程度まででは、頚管拡張後、掻爬術や産婦人科器具(胎盤鉗子やキュレット、吸引器など)で胎児を取り除く方法で行われます。ほぼ、12週までに行われています。

妊娠12週〜満22週までは、胎児がある程度の大きさとなるため、分娩という形に近づけないと摘出できません。そのためラミナリアやメトロイリンテルなどで子宮頚部を拡張させつつ、プロスタグランジン製剤(膣剤、静脈内点滴)により人工的に陣痛を誘発させる方法があります。また妊娠12週以降は死産に関する届出によって死産届けを妊婦は提出する必要もあります。

倫理的には好ましいとはいえないでしょうが、女性の健康や、やむを得ぬ理由を抱えた状態での出産を防ぐためにも、中絶は必要であると思われます。そのために亡くなってしまった女性のことを思うと、除外条件を設けるなどの措置が必要であると思われます。

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