厚生労働省は8日、先発医薬品と同じ成分・効果を持ちながら価格が安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)を普及させるため、後発薬を一定数量以上、品ぞろえした薬局には調剤報酬を上乗せする検討に入った。具体的には現在、原則として1回420円の調剤基本料に加算する考えだ。
患者が後発薬を選ぼうとしても、薬局に在庫がなく、あきらめざるを得ないケースが少なくないことから、十分な種類と量の在庫を確保してもらい、患者のニーズに応えられる態勢を整える。平成20年度の診療報酬改定で実現を目指す。
厚労省によると、大半の患者の需要に応えるためには、各薬局が300品目以上の後発薬をそろえる必要があるという。今後、調剤基本料を上乗せする対象となる品目数や保管量について、基準作りを進める。
後発薬の普及が進まない理由について、厚労省は後発薬に対する医師の根強い不信感だけでなく、薬局側にも薬の価格が安い後発薬を敬遠し、患者への説明の手間や在庫コストがかかることを嫌う傾向があると分析している。なかでも、在庫に関しては、患者が後発薬を希望しても、品切れだったり、後発薬そのものを置いていなかったりする薬局もあり、先発薬を選ばざるを得ないケースが少なくない。
患者のニーズにいつでも応じるためには、調剤報酬増額で在庫管理の薬局の負担を軽減し、十分な後発薬を準備できるようにする必要があると判断した。社会保障費の伸びの抑制を求められている厚労省は、後発薬の使用が拡大すれば医療費削減につながるとみて、シェア(数量ベース)を現在の2倍の30%に拡大する計画だ。
(ジェネリック医薬品 普及推進へ報酬上乗せ)
厚生労働省は新薬と成分は同じだが価格が安い後発医薬品の普及を目指し、2008年春にも薬の処方せん書式を変更する方針を固めている、と発表していました。しかしながら、より推進させるためにも調剤報酬増額を決定したようです。
現行の処方せんは、まだまだ新薬が基本です。2006年度の診療報酬改定で、「後発品への変更可」という欄が追加されました。欄に、医師の署名があれば、薬局などで後発医薬品の処方が増えると期待されていました。ですが、実際に後発医薬品が処方されたケースは全体の1%未満の約9,500件にとどまったそうです。まったく普及効果はあまりなかったと考えられています。
後発医薬品の価格は、新薬の4〜7割程度が中心です。アメリカやドイツなどでは、使用される医薬品の4〜5割程度が後発医薬品で、日本でも欧米並みに普及すれば、年間1兆円程度の医療費の抑制が可能とされています。
新薬の特許は、おおむね20〜25年で、その間は開発した製薬会社の利益が守られます。ですが、新薬の開発費は数百億円とも言われ、世界の巨大製薬会社との開発競争が激化していることから、大手製薬会社には、「国は後発医薬品の普及よりも、新薬に高い薬価を認め、画期的な新薬の開発を促進するべきだ」という意見も根強いです。後発薬に移行するには、こうした製薬会社との関係性も障壁となっています。
ですが、超高齢化社会を見据え、ふくらみ続けるであろう医療費を抑制するためには、こうした施策が必要になると思われます。結局の所、「お金で動いていく」ということに哀しさをおぼえますが、病院経営を考えると、致し方のないことなんでしょうね。
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厚労省によると、大半の患者の需要に応えるためには、各薬局が300品目以上の後発薬をそろえる必要があるという。今後、調剤基本料を上乗せする対象となる品目数や保管量について、基準作りを進める。
後発薬の普及が進まない理由について、厚労省は後発薬に対する医師の根強い不信感だけでなく、薬局側にも薬の価格が安い後発薬を敬遠し、患者への説明の手間や在庫コストがかかることを嫌う傾向があると分析している。なかでも、在庫に関しては、患者が後発薬を希望しても、品切れだったり、後発薬そのものを置いていなかったりする薬局もあり、先発薬を選ばざるを得ないケースが少なくない。
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(ジェネリック医薬品 普及推進へ報酬上乗せ)
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新薬の特許は、おおむね20〜25年で、その間は開発した製薬会社の利益が守られます。ですが、新薬の開発費は数百億円とも言われ、世界の巨大製薬会社との開発競争が激化していることから、大手製薬会社には、「国は後発医薬品の普及よりも、新薬に高い薬価を認め、画期的な新薬の開発を促進するべきだ」という意見も根強いです。後発薬に移行するには、こうした製薬会社との関係性も障壁となっています。
ですが、超高齢化社会を見据え、ふくらみ続けるであろう医療費を抑制するためには、こうした施策が必要になると思われます。結局の所、「お金で動いていく」ということに哀しさをおぼえますが、病院経営を考えると、致し方のないことなんでしょうね。
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