病気や体質が原因で妊娠できない夫婦が、第3者の女性に子供を産んでもらう代理出産について、「利用したい」と考える人が急増したことが厚生労働省の意識調査で分かった。6日、日本学術会議で報告された。

調査は今年2〜3月、全国の20〜60代の男女5,000人に郵送でアンケートしたもの(回答率68.2%)。その中で「子供に恵まれない場合、代理出産を利用するか」の問いに「利用したい」「配偶者が賛成したら利用したい」と答えたのが50.6%と、平成15年の前回調査より12ポイントも上回った。
 
一方、同様の質問で第3者の精子を用いた人工授精は「利用しない」が67.3%(前回61.5%)、第3者の卵子を用いた体外受精も「利用しない」が62.4%(同58.2%)と、代理出産に認識が広まる一方で、その他の生殖補助医療に否定的な見方が広まりつつあることも判明した。
 
代理出産をめぐっては、タレントの向井亜紀さん(43)とプロレスラーの高田延彦さん(45)夫妻が、米国での代理出産でもうけた双子について、最高裁が今年3月、「母子関係の成立は認められない」と初判断。出生届の不受理処分が確定した。
 厚労省では、代理出産の意識の高まりについて「向井さんの影響が少なからずあった」と話している。
(代理出産希望が急増「向井さんの影響も」)


最近、代理出産を支持する不妊患者らでつくる「扶助生殖医療を推進する会」は4日、生殖医療の在り方を検討している日本学術会議に対し、代理出産などの実施を認めるよう求める申し入れ書を発送したと発表しています。

申入書では、学会の倫理指針の撤廃や、代理出産によって生まれた子どもが依頼者夫婦の実子と認められるような法整備につながる結論を出すよう、学術会議に求めています。

代理母出産については、生殖補助医療の進展を受けて日本産科婦人科学会が1983年10月に決定した会告により、自主規制が行われているため、国内では原則として実施されていません。しかし、代理母出産をそのものを規制する法制度は現在まで未整備となっています。

代理母出産の事例としては、以下のようなものがあります。
代表的なのは、向井亜紀と高田延彦夫妻でしょう。
2003年に代理母出産によって得た子供を、養子ではなく戸籍上の実子として扱うよう求めたものの東京都品川区は出生届を受理しなかったため、夫妻側は処分取り消しを東京家裁に申し立てたことでも有名です。

しかしながら、9月に東京高裁が、1審の決定を取り消し、品川区に出生届を受理するように命じた決定を下しましたが、2007年3月23日の最高裁決定により、この東京高裁決定は破棄されています。

また、10月に根津八紘医師が特殊な代理母出産を行った、と発表しています。これは、年老いた母親に女性ホルモンを投与し娘のための代理母にした、というケースです。

海外でも、51歳の女性が自分の娘の「代理母」として、双子を出産した、という事例があります。27歳の娘が、4年にわたって努力を重ねたにもかかわらず妊娠しなかったので、代理母の役目を引き受けることに決めたそうです。

上記のニュースでは、第3者の精子や卵子を用いた人工授精には拒否感があっても、代理母出産にはトライしても良い、という結果が出ているようです。やはり「自分たちの遺伝子を残したい」という気持ちの表れでしょうか。

社会的に、法的整備や戸籍上の問題において、大きな変革を要する問題だけに、難しいこととは思いますが、これほど(感情的には)受け入れられている、という事実が、今後はどのように作用してくるのか、興味深いところです。

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