10月下旬に全国の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、1施設当たり0・2人と、この時期としては過去10年で最多だったことが国立感染症研究所のまとめで9日分かった。東京、神奈川など首都圏で報告が急増。今シーズンの全国流行の立ち上がりは早い可能性がある。

感染研感染症情報センターの安井良則主任研究官は「首都圏で患者が増えると、他の地域にも感染を広げる恐れがあり要注意だ」と指摘。「予防にはワクチン接種や手洗い、うがいなどを心掛け、発熱や倦怠感があるときは無理に会社や学校へ行かず、医療機関で受診を」と呼び掛けている。

感染研は、定点当たりの報告数が1・0人を超えると、全国的な流行開始と判断している。流行開始は例年、12月中〜下旬だが、昨シーズンは1月中旬と過去10年で2番目の遅さだった。

先月22〜28日の1週間に全国約4600の内科、小児科から報告された患者数は931人で、定点当たり0・20人。過去10年の同時期は0・00〜0・09人で今年は特に多い。

都道府県別では、夏からの流行が治まっていない沖縄県が274人と最多だが、これまで報告が少なかった東京が112人、神奈川が163人、北海道が110人などと急増した。

厚生労働省が集計している全国の学校、学級閉鎖数も、11月3日までの1週間でみると21施設と、例年の同時期に比べ多いという。
(インフルエンザ流行兆し? 首都圏で患者急増)


今年のインフルエンザのタイプとしては、Aソ連型といわれています。1990年以降は、A香港型が流行の主流であり、Aソ連型の流行は数年おきにしか起こっていないという点からも、免疫を持った人が少ないため、流行しやすいのではないか、と考えられています。

また、Aソ連型インフルエンザは、老人での発生はそれほど多くなく、比較的若い人たちでよく見られ、子供たちに流行したりします。そのため、今回は学級閉鎖が起こった学校も多いようです。

最近では、インフルエンザの診断についても、以下のような変化がありました。
鼻をかんで採取した鼻汁で、インフルエンザ感染の有無を診断するための検査キットが臨床の場で使われるようになりました。従来は、専用のぬぐい棒で鼻腔やのどをぬぐったり、スポイトで鼻腔から吸引して採取した検体を用いて診断していましたが、苦しいため、子供は嫌がったりしてなかなか難しいものがありました。

そこで、こうした鼻汁で診断できるようになり、検査成績もかなり精度が高いといわれているようなので、今後は鼻かみでの検査が有効な検査キット(クイックビューラピッドSPインフル)が使われてくるかもしれません。

タミフルと異常行動の関係性については、未だに決着がついておりませんが、問題が指摘されている以上、しっかりとした診断の上に用いるかどうか判断することが必要となると思われます(既に、厚生労働省は、10歳以上の未成年をタミフル使用中止対象としていますが)。ですので、すぐに結果の出る検査キットの存在は外来での対応をする場合にありがたい存在になると思われます。

しかしながら、以前の検査キットでも発症した直後ではウイルス量が少ないため陽性と判定されないことがありました。発症後2日目が最も陽性率が高いとされ、発症後4〜5日たつと陽性率は減少してくるといったことがありました。しっかりと検査の性質を押さえた使用が必要となると思われます。

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