4本の足と4本の腕があったためにインドで先週手足などの切除手術を受けた2歳の女児が13日、術後初めて公の場に姿を現した。当地の病院で開かれた記者会見に父親に抱かれて臨んだラクシュミ・タトマちゃんは、やや元気が無い様子で、足にはギブスがはめられていた。

約30人で構成されたラクシュミちゃんの医療チームを統括したシャラン・パティル医師は「(ラクシュミちゃんが)本日集中治療室から出られることを発表できてうれしい」とコメント。ラクシュミちゃんからすべての監視装置をはずしたことを明らかにした上で、経過は良好だと述べた。

医師団は1週間前、母胎内で正常に発達しなかった双子の姉妹と骨盤部分で結合した状態で生まれてきたラクシュミちゃんの手足や臓器の一部を切除する手術を、丸1日以上かけて行った。

術後は集中治療を受けていたラクシュミちゃんだが、パティル医師は、今は半固形食を食べられるまでに回復し、傷口も治ってきているとしている。ラクシュミちゃんはまた、さらなる足の手術を行う必要があるが、手術に耐えられる体力が回復するまで最低2週間はかかるという。
(8本の手足持つインド人女児、切除手術後の経過は良好)


いわゆるこうした結合体とは、双児の身体の一部分が結合したもので、対称性二重体と非対称性二重体(寄生性二重体)とに分類されます。対称性二重体は、両児が結合していて、それぞれの身体は均等かつ対称性に発育した場合をさします。

対称性二重体は、結合面に存在する臓器を共有していたり融合しています。両児間の血管の吻合があり、臍帯は腹側で結合している場合は1本のことが多いとのことです。
非対称性二重体は、上記の通り寄生性二重体のことを指しています。

一方、非対称性二重体(寄生性二重体)とは、連絡している二重体(二人が結合した状態)のうちで、一方の個体の発育は良好で(自生体といい、ラクシュミちゃんはこちら側)、他方の発育が不良で前者に付属しているようにみえる状態を指します。ラクシュミちゃんも、こうした状態で生まれてきたと思われます。

非対称性二重体は、結合している場所によって上顎体、寄生的頭蓋結合体、上腹体、寄生的胸結合体、仙骨部寄生体および封入胎児(自生体の腹腔・腹膜内をはじめ、眼窩内、胸腔・縦隔内に存在しています)と分類されています。つまり、これらの寄生体はでき上がった頭部、上半身、下半身などの形で自生体に結合しています。

寄生体には、心臓はないのが普通であるといわれています。恐らく、ラクシュミちゃんの場合も、寄生体の方は心臓はないと思われます。

こうしたことが、どうして起こるのかと言えば、以下のように説明できると思われます。
二重体は、本来一卵性双児であって、卵割の時期に両児の分割が不十分であったために癒合したものが結合体で、両児の発育に著しい差が生じると寄生体となると考えられています。

つまり、ラクシュミちゃんの場合も、もともとは一卵性双生児として生まれてくるはずだったのですが、十分に分割されず、なおかつもう一方の子が十分に発育することが出来ずにこうした状態になった、と考えられます。

さらに手術を行わなければならないということで、まだまだ予断は許しませんが、なんとか彼女がこれから、普通の女の子らしい生活に戻れることを祈っております。

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