以下は、ザ!世界仰天ニュースで取り上げられていた内容です。

1998年イギリス・チェスター。この町に住む夫ジョナスと妻モニカは仲の良いカップル。だが、モニカは卵巣に異常があり、妊娠しにくい体だったため不妊に悩んでいた。

医師に相談すると、体外受精を勧められた。何度も諦めずに、行ったが結果は失敗に終わった。モニカはすっかり塞ぎこんでしまい、見かねた夫が気分転換を勧め、それから夫婦2人で人生を楽しむことにした。

中でも、2人が思いっきり楽しんだのが食べること。その量は日増しに増え、モニカの体重は137Kgキロになり、健康もすぐれないので医師に相談すると「血圧とコレステロールが高すぎ、これじゃあ命の保障は出来ない。ダイエットをしなさい」と言われてしまった。医師は『胃バイパス手術』を勧めた。

2006年04月01日に手術を受けると、137Kgあった体重が1ヶ月で20Kg減少した。スリムな体を取り戻しつつあった時、今まで全く感じなかったお腹の違和感に気付いた。モニカはすぐ医師に相談、検査を行うと、なんと妊娠していたことが判明。しかも、既に妊娠6ヶ月だった。

結果、赤ちゃんはどんどん大きくなるというのに、モニカの体は痩せていくと言う不思議な現象が続き、今年02月23日モニカは無事3,100gの健康な男の子を出産した。


胃バイパス手術とは、胃の上部を水平に遮断し小腸と縫合する方法です。これは、食事摂取量を少なくさせる方法です。胃の入り口のほうに小さな胃の小袋(15ml〜30ml)を作り、ここに十二指腸を繋ぎます。消化液を分泌している残りの胃(幽門側)は、小腸に繋いでいます。

いままでは空腹時で50mlあったものが、およそ1/3程度になってしまうので、強制的に「少量で満腹」になるようにするわけです。たくさん食べると吐いてしまったり、気持ち悪くなったりします。もちろん、しっかりとした栄養管理も必要で、無理して食べ過ぎると小袋の部分が伸びてしまい、意味を成さない患者さんもいらっしゃるようです。ダラダラとお菓子を食べ続けたり、高いカロリーの飲み物を飲み続けたりするとことで、手術をした甲斐なく減量に失敗してしまう人もいらっしゃるようです。

この手術は、「どうしても食べることが止められない」といった病的な肥満(BMI32以上で糖尿病の合併がある、もしくはBMI37以上とアジア太平洋肥満外科会議で規定されているそうです)の患者さんに対して適応となる手術と考えるべきでしょう。安易な気持ちで、「手術を受ければ痩せられる」とは思うべきでないように思います。

また、この手術には以下のようなリスクもあります。
まず、減量手術を受けた患者のうち最大20%に、腹壁ヘルニアといった再手術を必要とする合併症が生じたそうです。ただ、この点に関しては、腹腔鏡技術の進歩によってこの問題は解消してきているそうです。

また、減量手術を受けた肥満患者の一部に、胆石の発生がみられるそうです。特に、急速ないし大きく減量している段階では、胆石発生のリスクが高い、と結果が出ています(ただ、術後6ヶ月間に胆汁酸塩を補充することによって、予防することができるそうです)。

そして、出産可能な年齢の女性であれば、体重が安定するまで妊娠は避けるべき、と勧告されています。これは、急速な体重減少および栄養欠乏が胎児の発達に危険を及ぼす可能性があるためです。

この点からも、減量期間中に妊娠していたモニカさんの例は、あまり好ましいとはいえませんが、肥満による妊娠中の合併症もあります。高血糖状態であると、それはそれで胎児に影響があります。巨大児や赤ちゃんの低血糖などの原因にもなり、成長に問題が起こることもあります。

何はともあれ、すっかりと健康になり、子供を抱く彼女の姿は、うらやましいほど幸せな様子でした。

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