サッカー日本代表のイビチャ・オシム監督が16日、千葉県内の自宅で急性脳こうそくで倒れ、都内の病院に緊急入院したと日本サッカー協会会長の川淵三郎会長が記者会見で明らかにした。

オシム監督は午前2時、自宅でサッカー中継の観戦後、倒れ都内の病院に入院したという。状態は不安定で話せる状態ではなく現在、集中治療室で治療中とのこと。川淵会長は「代表がどうこうより、今は命を取りとめてほしいと思う」と目を潤ませながら語った。
(日本代表オシム監督、脳こうそくで倒れる)

サッカー日本代表のイビチャ・オシム監督(66)が16日に急性脳梗塞で倒れ、千葉県浦安市の順天堂大学医学部浦安病院の脳神経内科・脳神経外科に緊急入院した。集中治療室で医師団の治療を受けているが、日本サッカー協会によると、病状は不安定という。

オシム監督は同日午前2時すぎ、自宅でイングランド・プレミアリーグのテレビ中継を観戦した後、倒れた。
(オシム監督、緊急入院 脳梗塞で倒れる)


脳梗塞とは、脳の細動脈に血栓、凝固塊、脂肪塊、石灰片、腫瘍塊などが詰まって血流を止めてしまうため、脳細胞が壊死する病気です。

脳梗塞には脳血栓と脳塞栓の2通りがあります。血栓は血液凝塊が血管内にできて、その部位に留まっているもの。塞栓は、血液凝塊が発生した部位から体の他の部位に移動して詰まらせるものです。動脈硬化などがあると詰まりやすく脳梗塞になりやすいとされています。

脳梗塞は、壊死した領域の巣症状(その領域の脳機能が失われたことによる症状)で発症するため症例によって多彩な症状を示します。麻痺や感覚障害、小脳または脳幹の梗塞や失調、意識障害や構音障害・嚥下障害などが症状として現れてきます。

脳梗塞は次の3タイプがあります。
1)ラクナ梗塞(41%):高血圧の人に多く、脳の細い血管が詰まるタイプで特に睡眠時に多く発症します。梗塞部が小さいので症状が全くでないか、でても比較的軽いのが特徴です。
2)アテローム血栓性脳梗塞(34%):生活習慣病の糖尿病、高血圧、高脂血症による動脈硬化で脳の太い動脈や頚動脈が詰まるタイプで特に睡眠時に多く発症します。
3)心原性塞栓症(18%):心房細動、急性心筋梗塞、心臓弁膜症により心臓内にできた血栓が脳血管をふさいだ時に突然の発作としておこるタイプで日中活動時に多く発症します。


診断としては、脳梗塞が疑われる場合、病変の起きた部位を確認するために、CT、MRI、脳血管撮影などの検査を行います。とくに、心源性脳梗塞症の場合は、心房細動が原因となるのでホルター心電図(24時間心電図)をとって調べます

治療法としては、以下のようなものがあります。
治療法としては、急性期には抗血栓療法、脳保護療法、抗脳浮腫療法があります。抗血栓療法には、血小板の働きを抑えて血栓ができるのを防止する抗血小板療法とフィブリンができるのを防止する抗凝固療法があります。

近年、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)という血栓溶解剤を用いた血栓溶解療法が欧米では実施され、わが国でも2005年10月より健康保険に導入されました。脳保護療法には活性酸素の働きを防止するエダラボンという薬剤を発症後24時間以内に使用すると後遺症が軽減されます。
 
脳梗塞を起こした部位が1〜2日するとむくみが起こるので、抗脳浮腫療法により脳浮腫の原因となる水分を取り除きます。脳梗塞になって3時間以内の場合は血栓や塞栓を溶かす薬を使って治療します。薬が効いた場合には詰まった脳動脈が再度開通し、血流が流れます。脳循環の改善薬や血栓・塞栓を予防する薬を使います。発症時にカテーテルを使い血管の血流を再開通させることも可能です。頚動脈の血栓内膜剥離術とバイパス手術により脳血流を改善させる手術も行います。

また、回復期にはリハビリが行われ、日常動作をできるだけ回復させたり、残された機能を最大限に引き上げて、家庭復帰や職場復帰をさせるために行います。

涙ながらに回復を祈る川渕さんの姿が、非常に印象的でした。ぜひとも、再び元気な姿をみせていただきたいと思います。

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