腹痛を訴えた中国人女性(21)が手術を受けたところ、体内からは、当初原因とみられた腫れた虫垂ではなく、サッカーボール大の重さ15キロの腫瘍が見つかったという。地元紙が15日に伝えた。

報道によると、手術は北京にある病院で行われ、30分かけ女性の体内から腫瘍を摘出。腫瘍の大きさは縦40センチ・横30センチで、良性のもの。

執刀医の1人は、医師として20年以上務めてきた中で、腹部にできたこのような大きさの腫瘍を見たことがないと話した。さらに医師は同紙に対し、「腫瘍は、取り除かなければいつ破裂してもおかしくないぐらいで、女性にとっても危険だった」とコメントした。

同紙によると、女性の体重は114Kgと比較的太めだったため、女性の家族も女性の腹部に異変が生じていることに全く気付かなかったという。
(中国人女性、腹から15キロの巨大な腫瘍見つかる)


腹部巨大腫瘤を呈するものといえば、子宮筋腫、卵巣腫瘍、肉腫(特に後腹膜平滑筋肉腫)、大網嚢腫(omental cyst)、腹膜偽粘液腫、膵偽嚢胞、悪性リンパ腫などが考えられます。

当初は虫垂を疑っていたことから、右下腹部に発生していたと思われ、さらに良性腫瘍であったということから、子宮筋腫、良性卵巣腫瘍(卵巣嚢腫)、腹膜偽粘液腫などが想定されると思われます。

こうした疾患は、以下のような巨大腫瘤を形成する場合があります。
子宮筋腫も、巨大化するものがあり、コモロ島の女性の子宮からは重さ18kg、サッカーボール大の腫瘍が摘出されたこともありました。腫瘤は、5年かけて体内で成長したものであるとのことです。

卵巣腫瘍の中では、粘液性嚢胞腺腫がしばしば巨大化することで有名です。嚢胞が破れ、内部の粘液がおなか全体に広がることもあります。この腫瘍細胞は良性にカテゴライズされますが、破れることで腹膜炎を起こし、死亡することも少なくありません。

「腹膜偽粘液腫」とは、虫垂にできる癌の一種で、粘液(ムチン)性腫瘍が腹腔内に増殖し、多量のドロドロの液体(=偽粘液腫)を産生してお腹を充満してしまう疾患です。一般的なガンと違い「良性の癌」であり、進行が非常に遅いのが特徴的です。

最初は虫垂に発生し、そこに液体を貯留させていきます(腹部レントゲン検査で、「大腸の横に水が溜まっている」と言われていました)。ですが、やがて許容量の限界に達すると虫垂は破裂し、今度は、腹部全体に広がっていきます。するとその癌細胞が、臓器を包む腹膜に転移。再びそこから偽粘液腫を放出し続けてしまいます。

100万人に1人の割合で発症するという珍しい疾患で、50代の女性に多いと言われています。しかも治療としては、あらゆる臓器に偽粘液腫が癒着している(良性のため、浸潤はしない)ため、除去するのが難しいといわれています。

それにしても、ここまで放置され、しかもあまり症状として表れないというのも驚きです。太った女性が、妊娠に気づかない、というケースもしばしばあるそうですが、同様にあまり「体が普段より思い」、といった感覚があまりないせいかもしれませんね。

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