ED(勃起障害)に悩む男性の3分の1が、初めて服用した治療薬で効果を得ることができず、そのまま性生活を完全にあきらめている実態が明らかになった。

性機能障害について研究を行う欧州の非営利団体が、独医薬品・化学大手バイエルの資金援助を受け、ED患者631人(平均年齢55歳)を対象に調査を実施。27日にリスボンで開かれた会議で結果を発表した。

それによると、調査対象者全員が治療薬を服用したことがあり、うち7割が調査当時も何らかの薬の服用を続けていた。

また対象者の68%が、最初に試した治療薬の効果が感じられなかった時、自信を喪失したと回答。32%が落ち込んだ状態になり、24%は自分の症状は今後良くならないと思ったと答えた。全体の3分の1が、最初の治療薬で失敗した後、ほかの薬を試すために医師を再度訪ねることはなかったという。

今回の結果について、調査を行った団体では「男性が依然EDの治療に関する助けを求めることに消極的だと裏付けられるとともに、初回の治療が成功することの重要性がわかった」としている。
(男性の性機能障害、治療開始後すぐに断念する人が多い)


勃起のメカニズムとは、以下のようなものです。

性的に興奮すると、副交感神経を通じて血流が調節され、静脈洞に血液が貯留され、静脈閉鎖機構というものの働きによって流れ出しにくくなります。これにより、海綿体は血液が満ちて大きく膨張して硬くなります。したがって、陰茎全体も硬く大きくなり、これを陰茎の勃起と呼びます。つまり、血液が海綿体に貯留することで起こるわけです。

一方、神経系として、性的な興奮は脊髄→骨盤神経→骨盤神経叢→陰茎海綿体神経という順に伝えられます。

この血管系および神経系の両方のメカニズムを受けて、勃起は起こります。
このメカニズムのどこかに、異常が起こることで器質性のEDが起こるワケです。他にも、"精神的な問題"で起こる心因性のEDもあります。

ED (erectile dysfunction)に関しては、男性の自尊心を傷付けたり劣等感、自信喪失といったことにも繋がりかねないといった、精神的な問題といった意味合いをもつケースもあります。そこで、治療を試みる患者さんも多いのではないか、と思われますが、実際には、全体の3分の1が、最初の治療薬で失敗した後、ほかの薬を試すために医師を再度訪ねることはない、とのことです。

そもそも、クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)は、以下のような作用機序を持ちます。
もともとシルデナフィルは1990年代前半、狭心症の治療薬として研究・開発が始まった。第1相臨床試験において、狭心症への効果は僅かであるが陰茎の勃起を促進する作用が認められ、これを適応症として発売されることとなりました。

バイアグラ(シルデナフィル)は、生体内で環状グアノシン一リン酸 (cGMP)の分解を行っている5型ホスホジエステラーゼ (PDE-5) の酵素活性を阻害します。これが陰茎周辺部のNO作動性神経に作用して血管を拡張させ、血流量が増えることによって機能すると考えられています。

ニトログリセリンなどの亜硝酸誘導体が、心臓病の治療に用いられるのは、これらの化合物がNO(一酸化窒素)に変化し、心臓の冠動脈を拡張させて血液供給を増やすからです。

シルデナフィル(バイアグラ)が、もともと狭心症の薬として用いられたことからも分かるとおり、NO(一酸化窒素)作動性神経に作用して血管を拡張血管を拡張させ、海綿体に入る血流量を増やす、とのことのようです。

ただ、こうした作用により、副作用として血圧の急激かつ大幅な低下や、心臓への酸素供給に支障をきたす狭心などがあらわれることがあります。また、効果の発現には、30分くらい前に服用する必要があります。

ただ、糖尿病や高血圧症、喫煙や高コレステロール値などの生活習慣病の関連因子が原因とも考えられているため、治療の第一歩としては、これらの要因を取り除くことが重要であると考えられます。他にも、喫煙や服用している薬にあると考えられた時には、禁煙や服用している薬の切り替えが必要となることもあります。さらには、精神的な原因が強い場合もあります。

最近では、心因性EDにおいてもED内服薬が有効であるという海外データも発表されているそうですが、すぐさま効果が出なかったりするケースもあるようです。ゆえに、すぐに諦めてしまうのではなく、治療したいという希望があるのならば、継続して治療を試みてはいかがでしょうか。

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