薬害や過去の医療行為で感染が広がったB、C型肝炎の電話相談を実施している特定非営利活動法人「東京肝臓友の会」(新宿区)への相談件数が、今年9月までの半年間で1700件を超え、過去20年で最高のペースとなっていることが2日、分かった。

薬害肝炎訴訟や、患者支援の動きなど肝炎に関する報道が増えているためとみられ、同会の天野秀雄事務局長は「治療費の軽減はもちろん、公的な相談の受け皿拡充や、どこの地域でも最新の治療を受けられる体制整備を行政は急いでほしい」と訴えた。

同会によると、4〜9月の相談件数は1775件。内訳は、症状に関することや治療法の選択など「療養相談」が1005件、抗ウイルス薬インターフェロンに関するものが267件、肝炎に関する資料請求などが223件。10月以降も、件数は未集計だが電話がひっきりなしにかかってくる状況が続いている。

同会の相談員をしている山岸節夫さん(66)は難治性のC型肝炎を患っていたが、平成17年6月から約1年半にわたって最新の治療法とされるペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を受け、ウイルスが消失した。治療費は年間で約100万円かかったという。

山岸さんは「経済的な理由で治療をあきらめてしまう人もいる。政府与党も負担軽減の検討をやっと始めたが、薬害や医療行為が感染の原因であることを考えると、誰もが無料で治療を受けられるようにしてほしい」と話している。
(肝炎相談、過去最高ペース 患者団体「行政も体制を」)


薬害肝炎が社会問題化したことを受け、厚生労働省は11月15日から、通話料無料のフリーダイヤルで汚染血液製剤「フィブリノゲン」についての電話相談の受付を開始しています。

ですが開始当初、午前9時半の開始と同時に電話は鳴りっぱなしになり、つながりにくい状態が続いていたそうです。電話は20回線用意したが、応対する職員は11人のみという不備もあったためと考えられます。こうした状況から、批判が集まっていました。

相談内容としては、「過去に治療を受けた病院はフィブリノゲンを使っていたか」「検診はどこで受ければいいのか」といった質問が多かったといいます。上記内容からも、不安に思ってらっしゃる方が多いといえるのではないでしょうか。

舛添要一厚生労働相は6日の閣議後会見で、薬害C型肝炎対策について、「財務省や総務省と相談しなくてはいけないが、方向としては検査の無料化を考えており、ざっと計算すれば、25億円の費用がかかると思っている」と述べ、肝炎の感染が心配な人を対象に、早ければ年明けをめどに医療機関などでの無料検診を実施したい意向を示しています。

ですが、電話対応ですら苦慮している状況で、十分な説明や補償といったことができるのか、疑わしいのではないか、と思ってしまいます。検査にやってくる患者さんの累積数は、非常に大きいものとなるのではないか、と予想されます。受け入れる病院や過去のフィブリノゲン使用歴の確認など、実質的な処理を行う病院は非常に大きな負担を強いられる結果になってしまうのではないでしょうか。

上記質問の中では、抗ウイルス薬「インターフェロン」に関するものが267件と多かったようです。ちなみに、インターフェロン療法とは、以下のようなものを指します。
インターフェロンとは、動物体内で病原体(特にウイルス)や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して細胞が分泌するサイトカインの一種です。ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きを示します。

1957年、A.アイザックスらにより、ウイルス増殖を非特異的に抑制する因子として発見され、ウイルス干渉(Interference)因子という意味でインターフェロンと命名されました。

医薬品としてはC型肝炎のほかいくつかの腫瘍などの治療に用いられています。

C型肝炎で用いられるインターフェロンは、インターフェロンα(ちなみに、αだけでも13種類が知られています。他は、β、ω、ε、κがあります)と呼ばれるものです。

インターフェロンαとβはリンパ球(T細胞、B細胞)、マクロファージ、線維芽細胞、血管内皮細胞、骨芽細胞など多くのタイプの細胞で産生され、特に抗ウイルス応答の重要な要素です。インターフェロンαとβはマクロファージとNK細胞をともに刺激し、腫瘍細胞に対しても直接的に増殖抑制作用を示します。

ただ、効果はウィルスのタイプにもよります。C型肝炎ウィルスの内、わが国では6種類(1a、1b、2a、2b、3a、3b)が存在すると考えられています。その割合は、遺伝子型の1aが1%、1bが70%を占め、2aが15%、2bが10%です。遺伝子型の3は報告はあるもののきわめて稀だそうです。1bがもっとも多いのですが、これはインターフェロンに反応しにくいといわれています(1群は2群より効きが悪く、1群の中でも1b は 1a より更に効きが悪い)。

また、副作用として抑うつ症状があり、治療継続が難しくなるケースもあります。しかしながら、インターフェロン投与を受けたC型肝炎患者では半数以上に改善がみられているという報告もあります。

このインターフェロン療法の助成を、厚労省は収入別に考えているそうです。ただ、国としての責任はない、と調査結果を発表している現在、どのような結果になるのか、不安な状況が続いています。

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